ヴラディスラフ1世

ヴラディスラフ1世（1325年 - 1377年）は、14世紀にワラキア公として在位（1364年 - 1377年）した人物で、ヴライク・ヴォダという通称で広く知られています。彼はニコラエ・アレクサンドルの息子として生まれました。

生涯

1364年に父ニコラエ・アレクサンドルの死後、ヴラディスラフ1世はワラキア公の地位を継承しました。彼の治世下では、経済と宗教の両面で重要な政策が実施されました。

経済政策

ヴラディスラフ1世は、経済の発展を重視し、1368年にはトランシルヴァニアのブラショフ市民に対して貿易特権を認める免許状を与えました。これにより、ワラキアとトランシルヴァニア間の交易が促進され、経済的な繁栄をもたらしました。また、ワラキア初の鋳貨となる銀貨を発行し、この銀貨は15世紀後半のラドゥ3世の治世まで発行され続けました。これは、ワラキアの貨幣経済の基礎を築いた重要な政策と言えるでしょう。

宗教政策

宗教面においても、ヴラディスラフ1世は重要な貢献をしました。1370年10月には、コンスタンティノープル総主教庁の宗教会議の許可を得て、セヴェリンに国内で2番目となる大主教教会を設置しました。これにより、ワラキアにおける正教会の影響力が強化されました。また、父ニコラエ・アレクサンドルに倣い、ギリシアのアトス山に財産を寄贈しました。これにより、正教会との関係を深め、ワラキアの宗教的な地位を高めました。さらに、ワラキアとトランシルヴァニアのカトリック教徒のために、アルジェシュに司教管区を設置しました。これは、異なる宗教を持つ人々との共存を図るための政策であり、彼の宗教的な寛容さを示すものです。

1377年にヴラディスラフ1世は死去し、公位は兄弟のラドゥ1世が継承しました。彼の治世は、ワラキアの経済的、宗教的な発展に大きく貢献し、その後のワラキアの歴史に大きな影響を与えました。

参考文献

* アンドレイ・オツェテァ『ルーマニア史』1巻（鈴木四郎、鈴木学共訳, 恒文社, 1977年5月）

もう一度検索