ヴルバス川

ヴルバス川は、ボスニア・ヘルツェゴビナ西部に位置し、サヴァ川へと流れ込む重要な河川です。全長235kmに及ぶその流れは、多様な景観と豊かな自然を育み、流域の人々の生活と文化に深く根ざしています。

地理的特徴

ヴルバス川は、ゴルニ・ヴァクフ＝ウスコプリェ近郊のヴラニツァ山の南斜面、海抜1,530m地点を源流としています。ディナル・アルプス山脈の北斜面を水源とするこの川は、サヴァ川との合流地点である海抜90m地点まで、緩やかに高度を下げながら流れていきます。

流域と気候

流域には、歴史的な都市ヤイツェや、ボスニア・ヘルツェゴビナの主要都市であるバニャ・ルカなどが位置しています。かつてユーゴスラビア王国時代には、この川の名を冠したヴルバス州が設置されていたことからも、ヴルバス川が地域にとって重要な存在であったことがうかがえます。

年間平均降水量は、河口付近で800l/m2、流域南部では1,500l/m2と地域によって差があります。流域南部では晩秋から冬にかけて降水量が多く、夏に減少する傾向があります。一方、流域北部では6月から7月にかけて降水量が多く、11月と12月が最も降水量が多い時期となります。

支流

ヴルバス川には、プリヴァ川、ウガル川、ツルナ川、ヴルバニャ川といった主要な支流が合流しており、これらの川もまた、流域の自然環境と人々の生活を支える重要な役割を担っています。これらの支流はヴルバス川の中流域に位置しています。

川の名前の由来

川の名前である「ヴルバス」は、セルビア・クロアチア語で「柳」を意味します。バニャ・ルカの川岸には、美しいシダレヤナギが立ち並び、ヴルバス川の景観を彩っています。この柳並木は、川の名前の由来を象徴する風景として、地域の人々に親しまれています。

ヴルバス川は、その豊かな水資源と美しい景観を通じて、ボスニア・ヘルツェゴビナの人々の生活と文化に深く根ざした、かけがえのない存在と言えるでしょう。

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