ヴワディスワフ・アンデルス

ヴワディスワフ・アンデルスの生涯と功績

ヴワディスワフ・アンデルス（1892年8月11日 - 1970年5月12日）は、ポーランドの著名な軍人であり、中将として知られています。彼は独ソ戦勃発時にポーランド軍を組織し、西部戦線での戦闘に参加しましたが、戦後には共産主義政権の影響でポーランド市民権を剥奪され、イギリスに渡りました。

初期の生涯と教育

アンデルスは帝政ロシアのウッチ県クトノ郡ブウォニェにて、ドイツ系貴族の家庭に生まれました。1913年にはワルシャワ工業大学を卒業し、その後、第一次世界大戦が始まると、ロシア帝国軍の騎兵学校に進学しました。1915年に卒業後、竜騎兵連隊の中隊長として昇進し、1917年には参謀本部アカデミーの課程を修了しました。

ポーランド軍への参加

1918年、アンデルスはポーランド軍に参加し、ユゼフ・ドヴブル＝ムシニツキ将軍の指導の下で第1ポーランド軍団の編成にかかわります。彼は第1軽騎兵連隊を組織し、さらに第1ポーランド師団の参謀長に就任しました。1919年にはドヴブル＝ムシニツキの大ポーランド軍の参謀長に昇進し、ポーランド・ソビエト戦争にも従軍しました。

彼はその後、フランスに留学し、高等指揮課程を修了した後、ワルシャワ警備司令に任命されました。1926年にはユゼフ・ピウスツキを支持する政府に忠誠を誓い、クーデターに対抗する組織的な抵抗を行いました。これにより、彼は騎兵総監参謀長としての地位を確立し、さらにヴォルイン騎兵旅団長にも就任しました。

ポーランド侵攻とその後

1939年にドイツがポーランドに侵攻すると、アンデルスの旅団は「モドリン」軍の指揮下に入り、ワルシャワの北方を防衛しました。ワルシャワ陥落後、彼はルヴフ（現リヴィウ）に撤退し、独立グループの指揮を執ります。しかし、9月29日、赤軍によって捕虜となり、ルビヤンカ刑務所に収容されてしまいます。

独ソ戦とポーランド軍の編成

独ソ戦が始まると、1941年にポーランド人捕虜に対する恩赦が発表され、アンデルスは解放されました。彼はポーランド亡命政府の指導のもとでポーランド軍の編成を開始し、自身は第5師団の指揮官となります。しかし、捕虜の行方が不明であったことから彼はソ連に対して疑念を持ち、米英軍との連携を選択しました。

1942年には中東のペルシア回廊へと部隊を移動させ、ついには東部ポーランド軍司令官として、複数の歩兵師団を指揮しました。1943年6月21日、彼の軍は第2ポーランド軍団に改編されました。

西部戦線での活躍

1943年末より、彼の軍団はイタリア戦線へと移動し、厳しい戦闘が続きましたが、多大な成果を上げます。1944年にはカッシーノを占領し、ボローニャの解放にも貢献しました。1945年からは西部ポーランド軍の司令官として職を全うしました。

戦後の生活と復権

戦争が終結した後、ポーランド軍は解散となり、アンデルスはポーランドの共産主義政権から市民権を剥奪され、イギリスに移住します。彼は現地のポーランド人コミュニティをリードし、戦争で倒れた兵士たちと共にモンテ・カッシーノの軍人墓地に眠ることを希望しました。1989年にポーランドで共産主義政権が崩壊した際、彼の市民権と軍階級は復活しました。

著作

アンデルスの業績は多くの著作にも記されています。特に『裏切られた軍隊 ポーランド第二軍団の悲劇』は、彼自身の経験と視点から戦争の悲劇を描いています。

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