一〇式艦上偵察機

一〇式艦上偵察機（C1M）

一〇式艦上偵察機は、大日本帝国海軍が1923年に制式採用した艦上偵察機です。三菱内燃機製造（現在の三菱重工業）が開発を担当し、当初は1921年に着手されました。この機体は、同社が製造した一〇式艦上戦闘機の設計を基に、複座化された拡張型として知られています。

開発の背景

一〇式艦偵の開発は、当時の日本海軍が求める艦上機のニーズに応じて進められました。1921年の初飛行成功後、改良が重ねられ、1924年11月には正式な採用に至りました。機体は木製骨組みと羽布張り構造を特徴としており、300馬力の水冷V型8気筒エンジンを搭載しています。このスペックにより、機体は最高速度204 km/hを誇り、754 kmの航続距離を有することが評価されました。

運用と役割

制式採用以前から部隊への配備が進んでおり、一〇式艦上偵察機は1924年当時、海軍の主力偵察機として重要な役割を果たしました。しかし、後に一三式艦上攻撃機が偵察機能を兼ねる様になると、迅速に前線から撤収されました。その後は後部座席に複操縦装置が取り付けられ、中間練習機として利用されるようになりました。また、一部は民間に払い下げられ、通信や測量、さらには練習機としても活用されました。総生産台数は159機にのぼります。

現在の状況

一〇式艦上偵察機の実機は現存していませんが、民間仕様の「北海」第1号機のレプリカが存在します。この模型は、小樽新聞社が用いていたもので、千歳市の蘭越浄水場の管理棟に展示されてきました。今後、千歳市空港の開港100年を記念して、このレプリカは2025年に千歳市役所本庁舎のロビーへ移設される計画が立てられています。

機体のスペック

具体的な仕様については以下の通りです。

• - 全長: 7.952 m
• - 全幅: 12.039 m
• - 全高: 2.895 m
• - 全備重量: 1,320 kg
• - 搭乗員: 2名
• - 発動機: 三菱ヒ式300馬力発動機
• - 最高速度: 204 km/h
• - 航続距離: 754 km
• - 武装:

- 7.7 mm機銃×4
- 爆弾 90 kg

まとめ

一〇式艦上偵察機は、日本の艦上機の歴史において重要な地位を占めており、その設計や運用方法は、後の航空機開発にも影響を与えました。

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