一の坂川

一の坂川について

一の坂川（いちのさかがわ）は、山口県山口市の中心部を流れる二級河川で、椹野川水系に属しています。この川は、萩往還の峠の一つである坂堂峠の南側に位置する、上宇野令の錦鶏の滝付近からその流れを始めます。川は山口市の中を南方面へと流れ、最終的には旭通りと三和町の境界付近で椹野川に合流します。

地理的特性

一の坂川に沿って植えられた桜並木は、特に春になると見事な景観を生み出し、地元では桜の名所として広く知られています。この川沿いのエリアでは、6月になると水生植物が生い茂り、ホタルの乱舞を楽しむことができます。護岸工事においては、自然環境への配慮がなされており、ホタルが生息しやすい形態に工夫されています。

歴史的背景

一の坂川の歴史は室町時代に遡ります。この時期、大内氏が川を京の鴨川に模して町割りを行ったと伝えられており、そのため山口が「西の京」と称されるようになったとされています。河川の左岸に位置する竪小路エリアには、当時の面影を残す町並みが今も残っています。

しかし、近年では河川の氾濫も経験しました。1971年8月6日、台風19号による豪雨で川が氾濫し、後河原一帯では95戸が床上浸水するという被害が発生しました。この氾濫は、一の坂川の管理をしていた県が事前に計画していた河川改修の工事が、地域住民の風致保存の希望との矛盾から延期されたことが要因の一つとも言われています。

この災害の後、県は再度一の坂川の整備方法を見直しました。自然環境への配慮を重視し、ホタルの生息環境を保つために雑割石を使用した「ホタル護岸」を採用することになりました。また、1984年には上流部に治水ダムとして一の坂ダムが建設され、地域の水害対策が強化されました。この「一の坂川ホタル護岸」は、昭和62年度に手づくり郷土賞（水辺の風物詩）を受賞し、さらに平成17年度には同賞の大賞を受賞しました。

流域の自治体と観光

一の坂川の流域には山口県および山口市が含まれています。川に関連する観光地としては、一の坂川桜並木があり、多くの観光客が訪れています。この場所は、春の桜を目当てに訪れる人々にとって特に人気があります。

アウトドア活動や地域の文化に触れたい方には、一の坂川沿いの散策がオススメです。豊かな自然と歴史的背景が調和したエリアは、訪れる人々に多くの感動を提供することでしょう。

脚注

また、山口県出身のシンガーソングライター、SIONの楽曲「螢」の歌詞には一の坂川が登場し、地域のアイデンティティを象徴しています。このように、一の坂川は地元の人々の生活や文化にも深く根ざした川であり、その魅力は多岐にわたります。

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