一ノ森

一ノ森について

一ノ森（いちのもり）は、徳島県美馬市と那賀郡那賀町の境界に位置する山で、標高は1,879.2mです。この山は、徳島県の中で4番目に高い峰として知られています。さらに、一ノ森は「四国百名山」にも名を連ねる、魅力的な登山スポットです。

地理的特徴

一ノ森の地理的位置は、剣山の東方約1.5kmのところにあります。この山は、かつての美馬郡木屋平村と旧那賀郡木沢村の境界にあり、剣山国定公園の一部に含まれています。山頂は特異な双耳峰の形状をしており、標高点は二つ存在します。そのうち、左側に山頂標があり、右側には三角点があります。また、山頂の直下には「一ノ森ヒュッテ」と「一ノ森神社」が位置しており、登山者たちが休息を取るためのシェルターと信仰の場として機能しています。

一ノ森という名称は、剣山に至る「一ノ森・二ノ森・三ノ森」から由来しています。これは、剣山主峰との関連性を示しており、一ノ森は古くから剣山の一部と見なされてきました。江戸時代には、小剣山とも呼ばれており、古文書『阿波志』にはその位置について記述があります。明治41年の『阿波名勝案内』には、一ノ森への具体的な登山道が記載されており、この頃から「一ノ森」の名前が広く使用されるようになりました。

自然環境

この地域は、かつて徳島藩の有林として保護されていたため、多くの古木や多様な樹種が生育しています。特に、シコクシラベやコメツガ、ゴヨウマツなどが多く見られます。見ノ越から剣山へ向かう道は非常に人気がありますが、一ノ森まで足を延ばす登山者は少ないのが現状です。しかし、著名な登山家・作家の深田久弥は、「剣山の姿を一ノ森から眺めるのが最も美しい」と述べており、この場所の魅力を伝えています。

また、山の手前には1965年に北斜面で起きた雪崩により命を落とした気象観測所の職員を追悼する「黒石の殉難碑」が存在しています。この碑には、新田次郎の言葉が刻まれており、山への愛情や献身が表現されています。

登山ルート

表参道コース

表参道コースは、剣山信仰の重要な道として昔から利用されてきました。見ノ越トンネルから国道438号を約12km下り、垢離取橋で穴吹川を渡ります。そこから約20分ほど上がった藤の池本坊の左手から剣山本宮へ向かい、その境内左から山道に入ります。この道は林道を挟んで続き、登山道となり、約3時間半で一ノ森に到達します。

行場コース

行場コースは、見ノ越から登山リフトを利用して西島駅から出発します。刀掛ノ松の十字路を左（東）に進み、数々の行場を経て約1時間で一ノ森に到着します。この道も多くの登山者に利用されています。

剣山尾根コース

剣山尾根コースは、剣山の山頂から南東へ向かい、二ノ森や殉難ノ碑を通って山頂に到達するルートです。このコースは約45分で、比較的短時間で一ノ森にアクセスできるため、人気があります。

結論

一ノ森はただの標高の高い山々ではなく、歴史や信仰、自然が織りなす特別な場所です。伝説や歴史が息づくこの山での登山体験は、訪れる人にとって忘れられない思い出となることでしょう。

もう一度検索