一上

一上（いちのかみ）についての詳細

概要

一上とは、日本の公卿制度において最も高い地位を示す言葉であり、特に筆頭公卿を指す言葉として「一ノ上卿」を短縮した形として知られています。この役職は通常左大臣が務めますが、左大臣が何らかの理由で不在であったり、適任でない場合には右大臣や内大臣がその役を引き継ぐことになります。また、稀に大納言がその役職を担うこともあります。

一上は、天皇の師傅である太政大臣や、天皇の代理を務める摂政関白を除外した、公卿の中で最高位の大臣として位置付けられます。この役職の重要性から、一上はさまざまな重要な行政業務を遂行する責任があります。

職務と役割

一上は、主に蔵人別当の職務を兼務するため、蔵人を指揮する役割も果たします。蔵人は天皇や公卿の身辺に仕える者たちで、事務的な役割を担っています。また、陰陽寮の別当が存在する場合には、その業務も兼ねることになります。

一上の任命は、通常「一上宣旨」と呼ばれる特別な勅宣によって行われます。これは天皇の公式な命令であり、この命令が出されることで一上としての地位が確立されます。しかし、左大臣が摂政関白に就任して一上を退く場合には、後継者を自ら指名することも可能です。

特異な事例

特異なケースとして、平安時代に存在した藤原道長の政権を挙げることができます。彼は摂政としての任務を引き受ける際、一上の職を退くことになりましたが、その際には一時的に大臣や大納言の中で最も早く出勤した者がその日の一上の業務を行うことを決定しました。この処置は、当時の右大臣藤原顕光や内大臣藤原公季が高齢であったため、道長がその後の政務の運営に不安を感じたことによるものです（『小右記』長和5年3月16日条）。

また、久安3年（1147年）には、左右両大臣が不在であったため、若い内大臣藤原頼長が一上に任命され、政務の復興に尽力しました。彼は兄である摂政藤原忠通を大いに圧倒し、その成果を上げました。

関連項目

一上に関連する他の役職としては、上卿、一座（摂政関白や太政大臣を含む宮中座次の最上位）などがあります。これらの役職は、いずれも日本の歴史や政治制度の中で重要な役割を果たしています。

一上の制度やその運営は、平安時代の政権構造や貴族社会の特徴を理解する上で重要な要素となります。そのため、この役職に関する知識は日本の歴史を深く掘り下げるためにも欠かせないものです。

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