一型繋留気球

一型繋留気球について

一型繋留気球は、大日本帝国陸軍によって運用された偵察用の気球です。この気球の開発は、第一次世界大戦の終息後に始まり、特に1918年から1927年にかけて標準化されました。元々はフランスから輸入したR型繋留気球を主軸として開発が進み、部分的な改造を施した試作機が誕生しました。

開発の背景

陸軍気球隊は、1918年にフランスから輸入したR型繋留気球を主力とし、その後1920年に部分改造を行った試作機が試験されました。試作第一号は1920年6月21日に陸軍により徴収され、その後も改良された機体が18機製造されました。この製作は藤倉工業と東京イー・シー工業の2社が担当し、最初は輸入品と同様に「R型繋留気球」との名称で呼ばれました。

1926年には「一型繋留気球」として準制式制定が行われ、以後も7機が製造されました。しかし、1927年には製造が終了し、後継機の開発が進められることとなります。同年には九三式繋留気球が開発開始され、また「九一式繋留気球」という名称変更が1931年にあったものの、一型との関連性については諸説存在します。

設計と特徴

一型繋留気球は、ガス嚢と空気房を収める吊籠を有し、魚の形をした気嚢の形状をしています。気嚢の尾部には進行方向を安定させるための安定舵嚢と方向舵嚢が取り付けられており、特に尾部が尖っていない点が後に製造される日本陸軍の繋留気球との大きな外観上の違いとされています。価格は1基あたり19,000円から22,985円と、当時の資源を考慮してもそれなりのコストがかかりました。

諸元

一型繋留気球のSizeは以下の通りです：

• - 全長: 27.977m
• - 気嚢最大中径: 8.24m
• - 気嚢容積: 1,000m³
• - 重量: 523kg
• - 有効搭載量: 200kg
• - 乗員数: 2名

このように、一型繋留気球は高度な設計がなされており、偵察用途において非常に重要な役割を果たしました。近代的な航空機が登場する以前において、気球は空中からの情報収集手段として貴重な存在であり、陸軍の情報戦略において欠かせない装備の一つでした。

参考文献

• - 『陸軍気球連隊と第二格納庫 ―知られざる軍用気球のあゆみと技術遺産ダイヤモンドトラス―』千葉市立郷土博物館、2022年。
• - 秋本実『日本陸軍試作機大鑑』。
• - 佐山二郎『日本の軍用気球 知られざる異色の航空技術史』。

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