一宮城 (阿波国)

一宮城

概要

一宮城（いちのみやじょう）は、徳島県徳島市一宮町にあった日本の城で、現在は徳島県指定史跡として登録されています。また、東山渓県立自然公園に属し、とくしま市民遺産にも選ばれています。一宮城は、南北朝時代に天険を利用して築かれ、その後大規模な改修が行われました。この城は、東竜王山の北東に位置し、標高144.3mの本丸から急傾斜が続く山嶺に立っています。周囲には鮎喰川や船戸川、園瀬川が天然の濠となり、背後には四国山脈が控えています。

この城は本丸を中心にした北城と南城の二城から成り立ち、本丸は北城に属し、南城には明神丸などの曲輪があります。また、山麓には居館も存在していたとされています。その規模は徳島県内で最大級の山城とされ、三好氏と長宗我部氏の攻防の舞台にもなりました。1954年（昭和29年）には徳島県指定史跡に指定され、2017年（平成29年）には続日本100名城の176番目に選ばれました。

沿革

一宮城は1338年、阿波国守護の小笠原長房の四男である小笠原長宗によって築かれました。彼は、一宮宗成を滅ぼし、この地に城を構えてから一宮氏を名乗るようになりました。長宗は南朝に属し、南北朝時代においては細川氏との戦いに参加し、多くの戦に関与しました。しかし1350年、彼は病死し、後に一宮成宗が城主となり、細川頼之軍との戦いが続きました。

その後、一宮城は阿波国の支配者が変わる度にその運命を大きく変えていきます。三好氏が支配することになると、一宮成祐は三好氏と姻戚関係を結び、その後の動乱の中で一宮城は重要な役割を果たしました。1577年、三好長治の命により伊沢頼俊や一宮成祐が出兵し、戦闘が続きましたが、長治が自害すると一宮成祐は孤立し、長宗我部元親との関係を深めました。

廃城の経緯

1585年、羽柴秀吉の四国攻めによって、一宮城は攻撃を受けました。139日間にわたる激しい戦闘の末、城は開城します。羽柴秀吉の降伏後、一宮城は蜂須賀家政に与えられ、改修が行われましたが、最終的には1638年の一国一城令によって廃城となりました。

城郭の特色

一宮城は、本丸を中心とし、周囲に多数の曲輪が配置されています。この城は、急傾斜を利用した防御に加え、石垣や土塁、竪堀が設置されるなど、堅固な防御力を持っていました。本丸は周囲に高い石垣が組まれ、虎口が一か所設けられています。曲輪には、才蔵丸や明神丸などがあり、それぞれに独自の防御を持っていたほか、貯水池が設けられていたため、水の管理も行われていました。

アクセス

一宮城跡へのアクセス方法には、車や徒歩があります。駐車場も設けられており、登山口から本丸跡までは約30分の距離です。城跡は自然に囲まれ、歴史と共にある美しい環境が魅力です。

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