一宮町 (兵庫県津名郡)

一宮町の概要

一宮町（いちのみやちょう）は、兵庫県の淡路島のほぼ中央に位置していた地方自治体で、旧津名郡に属していました。町の名前は、日本最古の神社の一つである伊弉諾神宮に由来しており、その神社は淡路国の一ノ宮としても知られています。地理的には、町の周囲は山に囲まれており、扇状の丘陵と限られた平地で構成されています。地形の特性上、約40%が山林で占められ、平地は非常に少なく、傾斜地が約80%を占めています。

地理と隣接自治体

一宮町は、淡路島の西海岸に位置し、周囲を五色町、北淡町、津名町といった同じ津名郡の町々に囲まれていました。この地域は、温暖な気候と豊かな自然が魅力であり、観光や農業においても重要な位置を占めていました。

歴史

一宮町の歴史は1955年3月31日にさかのぼります。この日、江井町、郡家町、尾崎村、多賀村が合併して新たに一宮町として発足しました。1956年には、さらに山田村が編入され、町の規模が拡大しました。特に1974年7月6日には、台風による豪雨で大きな被害が出たことが記憶されています。家屋の倒壊や山腹崩壊が発生し、残念ながら5名の犠牲者も出ました。2005年4月1日、一宮町は淡路町、津名町、東浦町、北淡町と合併し、新たな淡路市が誕生したため、町としては廃止されました。

経済・産業

一宮町の主な産業は、なんといっても線香の生産です。この地域は「かおり風景100選」にも選ばれるほど、線香作りが盛んな場所として知られています。2000年の国勢調査によると、一宮町の総人口は4,911人で、その中で第1次産業に従事する人々が25.9%、第2次産業は29%、第3次産業は45.1%を占めていました。また、昼間の活動人口は多く、昼夜間人口比は89.2%となっています。

漁業も活発で、尾崎漁港、桃川漁港、江井漁港などが利用されていました。これらの漁港は、新鮮な魚介類の供給源として地域経済を支えていました。

教育

教育面では、子どもたちのための多様な教育機関が存在しています。高等学校としては兵庫県立淡路高等学校一宮校、中学校は一宮町立一宮中学校、小学校は各地域に尾崎、郡家、多賀、江井、柳沢、山田などがあり、一宮町立柳沢小学校は2010年に閉校されました。保育園も整備され、地域の子育て支援が充実していました。

交通

一宮町内には鉄道が通っていませんが、県道や高速道路が整備されており、特に神戸淡路鳴門自動車道の津名一宮ICが利用されていました。車での移動が主要な交通手段となっていました。

名所・観光名所

一宮町には伊弉諾神宮があり、これは国生み神話に登場するイザナギ、イザナミを祭神としています。この神社は地元で「いっくさん」とも呼ばれ、大きな敷地を持ち、多くの参拝者が訪れる名所です。また、柳澤城の跡地も歴史的な観光スポットであり、淡路文化会館や淡路生活科学センター、兵庫県立淡路香りの公園といった施設も地域の魅力を高めています。

有名人

一宮町は、俳優の笹野高史さんや元衆議院議員の経塚幸夫さんといった著名な人物を輩出しています。このように、歴史と文化に根ざした一宮町は、多くの人々にとって魅力的な地域でした。

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