一式三十七粍砲

一式三十七粍砲

一式三十七粍砲（いちしきさんじゅうななみりほう）は、1941年に大日本帝国陸軍によって開発が始まった37mm口径の対戦車砲です。230年代中頃から主力として活躍していた九四式三十七粍砲は、ノモンハン事件をはじめとした実戦において一定の成果を上げましたが、1940年代初頭になるとその威力に限界が見えてきました。

背景と開発の経緯

1930年代の中頃から九四式三十七粍砲は多くの部隊に配備されましたが、1940年にはその弾道性能を向上させるため、砲口初速を800m/sにする研究が進められました。しかし、やはり根本的な改良が必要であることが明らかになりました。それを受けて1941年7月、新たに「試製一式三十七粍砲」の設計がスタートしました。

当初、昭和16年末までに試製砲が6門完成しましたが、実験中には砲尾の脱落という事故が起こり、抗堪性の問題が生じました。その頃、37mm口径の対戦車砲全般が威力を発揮できる限界に達しつつあり、他の新型砲の実用化の見通しも立っていたため、本砲の開発は後回しとなりました。しかし、1943年7月からは様々な改善が行われ、最終的に砲身命数が3000発まで向上しました。

構造と性能

一式三十七粍砲は単肉自緊砲身を採用し、全長1850mmの50口径となっています。閉鎖機は自動式で、駐退復坐機は水圧式です。照準眼鏡は4倍の倍率を持ち、開閉式の砲架を使用しています。全備重量は約350kgで、馬1頭での牽引が可能です。

本砲は対戦車戦闘に特化しており、一式徹甲弾と一式榴弾が使用されました。1942年5月の資料によると、試製徹甲弾によって、200mで55mmの防弾鋼板を貫通可能であり、距離が増すにつれてその性能は劣化しますが、一定の効果がありました。

生産と派生型

一式三十七粍砲は1943年末に制式制定されたものの、戦局が厳しい中で生産は少数にとどまりました。派生型には、一式三十七粍戦車砲やらく号三十七粍砲があり、これらは弾薬の互換性があるため、一式三十七粍砲と多くの共通点を持ちます。

結論

一式三十七粍砲はその努力が結実し、最終的に制式化されるも、戦局に影響されながら生産されました。技術の革新や改良が行われる中で、この火砲は当時の防衛戦略において重要な役割を果たしました。

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