一式三十七粍戦車砲

一式三十七粍戦車砲の概要

一式三十七粍戦車砲（1しき37みりせんしゃほう）は、大日本帝国陸軍によって1941年に開発が開始された口径37mmの戦車砲です。この砲は、主に二式軽戦車の主砲として、また五式中戦車の副砲として設計されました。さらに、海軍では特二式内火艇の主砲としても採用されました。

開発の経緯

この砲は、一〇〇式三十七粍戦車砲を基にして、改良が施された結果、初速向上が目的として1941年7月から研究が始まりました。同年11月には試製砲が完成し、直ちに試験が行われました。これにより、性能や耐久性が優れていることが確認されました。

1942年2月には、戦車に搭載した状態で機能と弾道性の試験が実施され、良好な成績を収めましたが、翌年2月に行った多数弾射撃試験では問題が発生し、設計の見直しが必要とされました。特に、駐退機の液圧が過大で、砲身に焼蝕が見られました。そのため、一部改修が行われ、新たな砲が再度試験にかけられました。

6月の試験では、駐退復座機や砲身の改修が功を奏し、良好な性能を発揮しました。この結果、九七式車載重機関銃との双連型が制式化されることになりました。

仕様と機能

一式三十七粍戦車砲は、同時期の九七式三十七粍砲と弾薬筒を共通化しており、互換性が確保されています。しかし、他の37mm砲とは互換性がありませんでした。照準器には一〇〇式照準眼鏡が用いられましたが、こちらも一〇〇式三十七粍戦車砲用とほぼ同じでした。

本砲は、様々な車両に搭載され、特にケト車や特二式内火艇の主砲として重要な役割を果たしました。さらに、チリ車試作車では九七式車載重機関銃と共に搭載されている例もありました。

装甲貫通能力

1942年5月の資料によれば、一式三十七粍戦車砲の装甲貫通力は、特に徹甲弾を使用した場合において顕著でした。200mの距離で55mmの第一種防弾鋼板を貫通する能力があり、500m、1,000m、1,500mの距離でもそれぞれ46mm、34mm、26mmの第一種鋼板を貫通することが示されました。

生産と仕様の変更

1944年6月までに、本砲は80門が製造されました。その後、兵器行政本部によって160門の生産が指示されました。これは、戦局が厳しくなる中での需要を反映していると言えます。

派生型と今後の予定

本砲を基にした派生型も検討されており、九七式中戦車や八九式中戦車の砲身を改修する案がありました。1942年2月には実際に九七式中戦車に搭載した試製三十七粍戦車砲の射撃試験が行われています。これにより、旧型の短砲身57mm戦車砲を新たに一式三十七粍戦車砲と同等の威力に改修することが目的でした。

参考文献

• - 佐山二郎『日本陸軍の火砲　歩兵砲　対戦車砲　他』（光人社NF文庫、2011年）
• - Ken Elks, Japanese Ammunition 1880-1945 Part2: 20mm-40mm (Solo Publications, 2009)
• - 各種試験報告書や技術研究会の記録より、多様な情報が収集されています。

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