一式十糎自走砲

一式十糎自走砲ホニIIの詳細

一式十糎自走砲ホニIIは、第二次世界大戦初期の大日本帝国陸軍における自走砲として位置づけられています。この自走砲は、1944年に対戦車用として運用されることが決定されました。

開発の背景と概要

ホニIIの開発は1941年3月31日に始まりました。1942年2月には、九一式十糎榴弾砲を基にした試作モデルが完成しました。このモデルは大阪陸軍造兵廠によって製造され、発射試験を経て改善が施されました。試作段階では、砲架や托架に強度不足が見られ、補強が必要とされました。その後、改修されたモデルで、九七式中戦車チハの車体に搭載して400kmの運行試験を行いました。試験中に、砲と防盾を支持する架が不安定であったため、さらなる補強が求められました。ただし、この期間中、運動性や弾道性については良好な結果が得られています。

1942年6月には新しい揺架を用いて試験が行われ、成功したため、同年8月にはほぼ実用化に至りました。実際に、ホニIIは1943年に正式に制式化され、その後計画のもとで生産が始まりました。

主な性能

ホニIIの主砲は、高低射界が-15度から+25度まで調整可能で、最大射程は9,000mです。また、発射する弾丸の初速は454m/sで、弾薬搭載量は16発です。車体床には九一式尖鋭弾が16発搭載され、発射時は二号装薬と九一式榴弾を使用しました。また、装甲の厚みは、砲両脇と車体前面が25mmであったため、敵火力からの防御力に限界がありました。

ホニIIの設計は、一式七糎半自走砲ホニIと大きく異なりますが、基本的な設計理念は同じで、上部構造物はオープントップ式を採用していました。更に、量産体制が整うまでに時間を要し、1943年11月以降に合計138門の生産が行われました。

戦場での展開

1944年11月には、フィリピンの防衛戦に備え、陸軍大臣が自走砲大隊の編成を指示しました。しかし、ルソン島への到着途中で空襲を受けて装備が全て失われ、同部隊は解散せざるを得ませんでした。一方、別の部隊にはホニIが配備されており、アメリカ軍との交戦が行われました。

装甲貫徹能力

ホニIIに搭載されている九一式十糎榴弾砲は、その装甲貫徹能力についても評価されています。徹甲弾を使用した際の貫通限界厚さは、射距離に応じて変化し、最長で83mmの鋼板を貫通できました。さらに、三式穿甲榴弾を使用すれば、1,000mの距離で120mmの装甲を貫通することができました。

まとめ

この一式十糎自走砲ホニIIは、日本陸軍の自走砲として、敵の装甲に対抗するための重要な役割を果たしました。しかし、生産と配備の遅延が影響し、戦局においてその真価を発揮することが困難な事例も多く見られました。第二次世界大戦を通じて、ホニIIの運用方法やその性能はさまざまな議論を生むこととなりました。

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