一本列島

一本列島（いっぽんれっとう）

一本列島とは、日本の鉄道網が大幅に整備されたことを意味する言葉で、特に1988年（昭和63年）の青函トンネルと瀬戸大橋の開通によって、全てのJR路線が線路でつながったことを指します。この「一本列島」という言葉は、「日本列島」と「一本」を組み合わせたもので、JRグループのキャッチコピーとして広まりました。この開通による影響は、ダイヤ改正とともに鉄道の利便性を大きく向上させました。

開業までの背景

本州と九州の間は、1942年の関門トンネル開通以降ずっと陸上で結ばれていましたが、北海道と四国との間は長い間、鉄道による直接の接続がありませんでした。これに対し、日本国有鉄道（国鉄）は青函連絡船や宇高連絡船などによって連絡をしていましたが、利便性が限られていました。また、戦前から日本列島を結ぶための橋やトンネルの構想が存在していました。

1954年の洞爺丸災事故を受けて、青函トンネルと瀬戸大橋の建設が決定しました。青函トンネルは1961年に、瀬戸大橋は1978年に着工されました。ところが、完成に近づくにつれ、自動車や航空機が主流となる中で、青函トンネルの必要性が疑問視されました。国鉄の分割民営化（1987年）によって、新たに設立されたJR北海道やJR四国が、その維持に苦労するのではないかとの懸念が高まりました。

それでも、1988年に青函トンネルと瀬戸大橋がそれぞれ開通し、JRグループは「レールが結ぶ、一本列島」というキャッチコピーを発表しました。これに伴い、JRグループ全体で初の大規模なダイヤ改正も実施されました。

ダイヤ改正の内容

ダイヤ改正では、青函トンネルを中心とした津軽海峡線と、瀬戸大橋を含む本四備讃線の新設がありました。青函トンネルにより新たに運行される列車としては、寝台特急「北斗星」や夜行急行「はまなす」があり、これにより本州と北海道のアクセスが格段に向上しました。その後の運行では、かつての青函連絡船とは異なり、鉄道だけのスピーディなアクセスが実現されました。

瀬戸大橋も、開業後は旅客輸送で予想を上回る人気を誇り、岡山と高松間のアクセス時間が大幅に短縮されました。特急列車「しおかぜ」や「南風」が新設され、多数の列車が特急化するなどして地域間の交通が活発化しました。

開業の影響

青函トンネルの開通により、青森と函館間の移動時間は約4時間から2時間に短縮されました。さらに、各都市間の到達時間も大幅に短縮され、輸送効率が一気に向上しました。ただし、青函ラインの利用は盛況だったものの、長年にわたる過疎地の影響も相まって、利用客数は年々減少傾向にありました。

一方で、瀬戸大橋の開通は、地域の通勤・通学の利便性を大きく向上させました。岡山から四国への通勤客は、開通前の1985年には687人だったのが、2005年には2,447人に増加しました。また、生活の利便性が向上し、地域間の往来が日常的になりました。

まとめ

青函トンネルと瀬戸大橋の開通は、日本全国での鉄道網の発展に重要な役割を果たしました。「一本列島」という概念は、この整備されたネットワークの象徴であり、現在に至るまで多くの人々に親しまれています。今後も、これらのインフラを活用したさらなる発展が期待されます。

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