一本松温泉

一本松温泉、別名たつこの湯は、秋田県仙北市の乳頭温泉郷に位置する秘湯です。かつては温泉宿が存在しましたが、現在は脱衣所などの設備はなく、自然そのままの野湯として親しまれています。

温泉の特徴

湯船は浅く、2～3人程度が入れるほどの大きさです。源泉は高温のため、ホースで沢の水を引いて温度を調整する必要があります。湯色は基本的に透明ですが、清掃時や入浴者が湯船に入ると、底に沈殿している湯泥が舞い上がり、乳白色に変化することがあります。この湯泥は、温泉成分が凝縮されたもので、肌に良いとされています。

ロケーション

一本松温泉は、乳頭山（烏帽子岳）への登山道沿いに位置しており、黒湯温泉から徒歩約1km（標高差約100m）の場所にあります。一本松川の支流を渡ったすぐ上に湧き出しており、周辺には硫黄の匂いが立ち込めます。登山道脇にも温泉が湧出している場所があり、そこで入浴を楽しむ人もいます。

アクセス

一本松温泉へは、黒湯温泉から乳頭山方面へ向かう登山道を歩いてアクセスします。道中には一本松川を渡る必要があり、足場が悪い場所もあるため、注意が必要です。登山シーズン中は、多くの登山客が訪れるため、比較的道は整備されていますが、雨天時や積雪時は滑りやすくなるため、十分な装備と注意が必要です。

注意点

一本松温泉は、あくまで自然のままの野湯であるため、温泉施設の管理はされていません。入浴の際は、以下の点に注意してください。

脱衣所がないため、着替えの場所や方法を事前に検討しておく必要があります。
タオルや石鹸、シャンプーなどのアメニティは一切ありません。必要なものは全て自分で用意する必要があります。
湯温が高すぎる場合は、沢の水を引いて温度を調整する必要がありますが、温度管理は自己責任で行ってください。
雨天時や増水時は、川を渡るのが危険な場合があります。無理な入浴は避けましょう。
ゴミは必ず持ち帰りましょう。

一本松温泉を楽しむために

一本松温泉は、自然の中で静かに温泉を楽しみたい人におすすめの場所です。登山と合わせて訪れるのも良いでしょう。ただし、野湯であるため、十分な準備と注意が必要です。自然への敬意を払い、マナーを守って利用しましょう。

参考文献
大原利雄、『誰も行けない温泉　命からがら』、小学館文庫、2002年
* 郡司勇、『一湯入魂温泉』、山と渓谷社、2003年

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