一条信龍

一条 信龍（いちじょう のぶたつ）

一条信龍は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活動した武将です。彼は甲斐国の武田氏の当主である武田信虎の八番目の子であり、武田信玄の異母弟として知られています。武田二十四将の一人として名を馳せ、甲斐市の上野城を拠点に活躍しました。

生涯

信龍は信虎の末っ子とされ、そして『系図類』によれば河窪信実の弟に当たりますが、彼自身の年齢は明らかではありません。特に、信虎の子である信就が官途を称していたことから、信龍が年上である可能性が指摘されています。彼は室町時代に断絶した一条氏の名跡を継承し、この家系に新たに息吹を与えました。

信龍は、親族の騎馬軍団200騎（又は100騎とも言われる）の指揮を執り、特に外交戦略において重要な役割を果たしました。相手は本願寺や松永久秀などの畿内の勢力であり、信玄の遺言に従って子である勝頼の後見人にもなったことで、家族の結束を強固にしました。

戦闘においては、主に後衛を任されていたため、信龍の戦果はあまり文献に残されていませんでしたが、『甲陽軍鑑』には数々の著名な武将たちと共にその名が記載されています。信龍は信玄の指導の下、1575年に行われた長篠の戦いにも参加。彼は佐久間勢に対して攻撃を仕掛け、戦場での活躍が評価されました。馬場信春の部隊と連携し、勝頼の撤退を見極めながらも戦局を支えました。この戦いの後、彼は田中城の城主となりました。

1582年、織田信長の甲州征伐において、信龍は鎌倉路を逃れ、家康の三河軍に包囲されました。彼は少ない手勢で突撃し、信就と共に討死を遂げました。この出来事は、信龍がどのように家族のために勇敢に戦ったかを物語っています。また、実際には彼の命がどのように終わったかにはさまざまな説が存在し、当時の資料は彼の最期を正確には記録していません。

信龍没後の遺領

信龍の屋敷は、現在の甲府市に所在し、一条小路と呼ばれる重要な通りの一部を形成していました。彼の死後、武田の遺領をめぐって起こった天正壬午の乱では、信龍の屋敷も重要な役割を果たしました。この戦争では、徳川家康が北条氏と対峙し、信龍屋敷を含む地域が軍事戦略の要所となっていました。

人物像

信龍についての記録は多くないのですが、『甲陽軍鑑』には彼に関する興味深い言及も残されています。山県昌景の発言によると、信龍は武具などが常に新しいだけでなく、優れた浪人たちを集める才能も持っていたようです。また、彼は華やかさを好む性質があり、その存在感が周囲に影響を与えていたことが伺えます。信玄にとって信龍は特に軍事面で信頼を寄せられていた盟友であり、彼の行動や判断に重要な役割を求めていました。

最後に、信龍の墓所は市川の善福寺にあり、彼の勇気ある生涯は今も多くの歴史愛好者に語り継がれています。

もう一度検索