一条橋停留場

一条橋停留場：日本一短い駅間距離を誇る路面電車の駅

高知県高知市大津にある一条橋停留場は、とさでん交通後免線沿線に位置する路面電車の停留場です。この停留場の最大の特徴は、隣接する清和学園前停留場との間の距離が非常に短いことです。わずか63メートル（文献によっては84メートル）しか離れておらず、これは日本一短い隣接駅間距離として知られています。まるで隣同士の駅が寄り添っているかのような、独特の光景が広がっています。

歴史と変遷：100年を超える歴史を刻む停留場

一条橋停留場は、1911年（明治44年）、土佐電気鉄道（現・とさでん交通）の路線開通と同時に開業しました。当初は現在の清和学園前停留場が存在せず、周辺地域は違った風景が広がっていました。その後、1942年（昭和17年）に一時休止となりましたが、1952年（昭和27年）に再開。そして1985年（昭和60年）、清和女子中学校・高等学校が当地に移転し、清和学園前停留場が新設されたことで、現在の近接した配置が誕生しました。地域住民の要望もあり、一条橋停留場は存続されたため、日本一短い駅間距離というユニークな状況が生まれたのです。2014年（平成26年）には土佐電気鉄道が高知県交通・土佐電ドリームサービスと経営統合し、とさでん交通の一員となりました。

停留場構造：シンプルな相対式ホーム

一条橋停留場は、東西方向に伸びる2本の線路を挟んで向かい合わせになった、シンプルな相対式ホーム構造です。北側に後免町方面行き、南側にりまや橋方面行きのホームがあり、後免町寄りの線路には折り返し用の渡り線が設置されています。通常ダイヤでは当停留場での折り返し運転は行われていませんが、臨時ダイヤ時には折り返し運転が行われ、「一条橋」と書かれた方向板が掲示されます。乗降客は、ホームからスムーズに電車へ乗り降りできます。

周辺環境：歴史と自然が調和する場所

一条橋停留場周辺は、歴史と自然が調和した魅力的な場所です。隣接する清和学園前停留場との間には、細いながらも川が流れ、後免線は軌道専用の明見川橋梁で川を渡っています。そのため、清和学園前停留場は一条橋停留場から直接視認することが可能です。停留場名の由来となっている「一条橋」は、並走する国道195号に架かる橋で、かつて当地に築かれていた大津城の城主、土佐一条氏にゆかりがあります。橋の欄干には一条氏の家紋が刻まれています。かつては、明見川橋梁と一条橋の高さが同じだったため、自動車が軌道に誤進入する事故も発生していましたが、舟入川の河川改修によって橋が架け替えられ、現在は安全が確保されています。また、停留場の北側にはJR四国土讃線の土佐大津駅があり、電車と鉄道の両方のアクセスが可能です。

まとめ：地域に愛される小さな停留場

一条橋停留場は、日本一短い駅間距離というユニークな特徴を持つ、歴史と自然に囲まれた路面電車の停留場です。周辺環境との調和や、地域住民との繋がりの中で、長きに渡り愛され続けている、まさに「地域に根付いた停留場」と言えるでしょう。 その歴史、構造、そして周辺環境を理解することで、一条橋停留場の魅力をより深く知ることができるはずです。

もう一度検索