一気!

一気!（いっき）

とんねるずの3枚目のシングル『一気!』は1984年12月5日に発売されました。ビクター音楽産業からのリリースで、この作品は一般的に彼らのデビューシングルと見なされています。というのも、前の2曲は企画盤であり、正式なデビュー作としての位置づけは本作にあるからです。さらに、作詞には秋元康が初めて起用されました。

ジャケットアートでも見られる通り、彼らは「学ラン（長ラン）」姿で歌っており、応援団のような印象を与えています。この新しいビジュアルスタイルは、当時のファンに強い印象を残しました。『一気!』は思いのほかヒットし、オリコンチャートでは最高19位を記録します。石橋貴明は「こんな俺らの曲買う人いるんだな」と驚きを隠せず、このシングルの成功が彼らのキャリアにおける重要な転機になったことは間違いありません。ヒット後、彼らは「カリスマ」（または「高卒のカリスマ」）と名乗り始めました。

『一気!』にはカラオケで流れる別バージョンも存在し、特に冒頭には文化放送のラジオ番組『決定!全日本歌謡選抜』のパロディが盛り込まれています。この別バージョンは『New Version』として「成増」に、また『Long Version』として「自画自賛/ザ・ベスト・オブとんねるず」に収録されています。

1985年1月19日の「オールナイトフジ」では、石橋貴明がテレビカメラに抱きつくパフォーマンスを行い、カメラを壊すという事件が起こりました。この「テレビカメラ転倒パフォーマンス」は、彼らのユニークなキャラクターを強調する出来事として語り継がれています。

その後、歌番組に頻繁に出演するようになり、『オレたちひょうきん族』のコーナー『ひょうきんベストテン』にも登場しますが、以前に日本テレビで別番組に出演していたため、司会者からは「他局の方々」という扱いを受けました。そのため、歌い始めると、ひょうきん族の出演者たちからビール瓶やケーキを顔に投げつけられるなど、リアルな演出でいじられることになりました。最終的に、彼らは「もう日テレには出ないから勘弁してくれ！」と叫び、「フジテレビ命(いのち)だよ～」と訴えました。

2013年12月には、「とんねるずのみなさんのおかげでした」と題する特別企画で、当時の振付やカメラ転倒パフォーマンスを再現する一幕があり、懐かしい思い出として話題となりました。

カップリング曲には「バハマ・サンセット」が収録されており、こちらは石橋が矢沢永吉、木梨が五木ひろしの物真似をしながら歌うパロディ曲です。アルバム「成増」に収録されているバージョンは、シングルとは異なり、彼らの出身地にちなんだ内容となっています。

歌詞の中には、下戸に一気飲みを強要するような表現が含まれているため、2021年のテレビ放送では「健康のため、一気飲み等の行為はやめましょう」というテロップが表示されるなど、時代の変化を反映した対応も見られます。

『一気!』は、ただの楽曲以上の存在感を持ち、二人のキャリアの一部として代表的な作品となっています。

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