一燈園

一燈園（いっとうえん）について

一燈園は、明治末期に西田天香によって設立された懺悔奉仕団体で、京都市山科区に本部を構えています。この団体は宗教法人格を持たず、正式名称としては一般財団法人懺悔奉仕光泉林（ざんげほうしこうせんりん）と呼ばれています。創設者である西田天香の思想を継承する現代表者は、その孫である西田多戈止です。

創設と信条

一燈園は1905年に設立され、創設者である西田天香が提唱した生活の在り方の一つとして発展してきました。天香の主著書『懺悔の生活』（春秋社刊）では、争いを避け、調和した生活の重要性が強調されています。この団体は特定の本尊を持たず、団体のメンバーは大自然（「おひかり」と呼ばれる）に向かって礼拝し、その日常生活を祈りの形で捧げる原始宗教的な側面を持っています。また、個々の信仰を持つことは自由とされています。

一燈園の信念は、「大自然に許されて生きる」ことにあります。人間は母親が子供に母乳を与えるかのように、大自然から生涯の糧を与えられています。競争や争いごとを避け、自己中心的な考えを捨て、感謝を持って生き、奉仕を通じて社会に還元することが重視され、これが生命の活かされ方を導くとされています。

活動内容

一燈園の本部には200人以上の同人が共に生活しており、財団法人として建築、出版、農業など様々な活動を行っています。同人は収入を自己の所有物として取り扱わず「無所有奉仕」を実践し、所得を「おひかり」に捧げます。この資金や物品は「宣光社」という仕組みを通じて運用され、信条に基づいた活動に用いられます。

社会的な活動では、京都や滋賀を皮切りに、全国各地で家庭、学校、事業所を訪れ、無償でトイレの清掃を行っています。しかし、最近は治安の悪化により新しい客を簡単には受け入れられず、活動が行いづらくなっています。それでも、報酬なしでトイレ掃除を行う姿勢に感謝する声は多いです。

関連団体とイベント

一燈園の理念に賛同する信徒で構成される「光友会」や、企業研修などにも利用される「智徳研修会」が定期的に開催されています。特に、年始には企業や生徒が参加する行願（修行）が行われ、参加者はトイレ掃除を通じて心を清めています。

関連事業と教育機関

一燈園には学校法人燈影学園、いずみ幼稚園、一燈園小学校・中学校・高等学校など様々な教育機関が関連しており、地域の教育にも貢献しています。さらに、株式会社のうけんや燈影舎、燈影設計工務、燈影新エネルギー開発株式会社など、多様な事業も展開し、社会に貢献しています。

劇団について

一燈園を母体に1931年に設設されたすわらじ劇園は、過去には多くのメンバーが所属し、活動を続けていましたが、2020年の新型コロナウイルスの影響で活動を停止し、解散しました。最盛期には40人の劇団員が所属していましたが、解散時には8人でした。

関連人物

創始者の西田天香は、1947年の第1回参院選で「国民総懺悔」を掲げて当選し、6年間の任期を務めました。また、同じく園で修行を重ねた著名人には倉田百三や尾崎放哉がいます。

一燈園は、物質的所有という枠組みを超えた、精神的な豊かさを求める共同体であり、地域社会への貢献を通じてその実践を続けています。文献にも多く取り上げられ、その思想と活動は今なお多くの人々に影響を与えています。

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