一畑電気鉄道デハ1形電車

一畑電気鉄道デハ1形電車

一畑電気鉄道デハ1形電車は、一畑電気鉄道（現・一畑電車）で活躍した電車です。この電車は、1927年に北松江線の電化開業に合わせて導入されました。製造は日本車輌製造で、当初は5両が製造されました。

概要と歴史

デハ1形は、70年以上にわたる長い間、一畑電鉄の主力として活躍しました。しかし、後継車両である5000系の導入に伴い、1998年9月30日に定期運用を終え、同年10月10日にその歴史に幕を閉じました。製造当初は5両でしたが、後にクハ14形として製造された車両が電動車化されデハ7に改造されたため、最終的には6両となりました。また、製造当時はデハ4が存在しましたが、後に4が忌み番とされたため、デハ6に改番されました。

戦後、観光需要が高まった1951年から1953年にかけて、デハ1・2・5の3両が2扉・クロスシートに改造され、デハ20形に編入されました。デハ1形として残った車両にも、弱め界磁制御が装備され、最高速度が向上しました。

1978年には、デハ1形として残っていたデハ3とデハ6が大社線のワンマン化に対応するため、自動ドアとワンマン運転対応に改造されました。改造後は、廃車となるまで大社線で運用されました。これらの車両は、廃車後、大社線高浜駅近くの「さとがた保育園」に静態保存され、現在でもその姿を見ることができます。ただし、モーターや電動発電機、コンプレッサーなどは、ほぼ同型の車体を持つデハニ50形の予備部品として取り外されています。

デハ23として1996年に廃車となったデハ1は、当初平田市立図書館（当時）の敷地に保存されましたが、老朽化のため2004年に解体の危機に瀕しました。最終的に、前頭部のカットボディのみが島根県に譲渡され、2007年3月に開館した島根県立古代出雲歴史博物館で、旧北松江駅を再現した改札口と組み合わせて保存・展示されています。運転席には運行風景、側面窓には昭和30年代の映像が映し出され、当時の雰囲気を伝えています。

車両の特徴

デハ1形は、3扉ロングシートの構造を持っています。製造時期がダブルルーフからシングルルーフへの移行期であったため、屋根はシングルルーフですが、車内天井はダブルルーフという特徴的な構造をしています。車体は半鋼製で、「日車標準型」と呼ばれる標準規格に基づいて製造されました。ベンチレーターは、当時よく見られた「お椀形」のものが採用されています。

クハ14形

デハ1形とほぼ同型の制御車として、1928年にクハ14形が製造されました。この車両は、後にデハ7形を経てクハ111形（2代）となり、デハ11形（2代）とペアを組んで運用されました。クハ14形は、1986年に廃車されました。

車番の変遷

デハ1形は、製造当初デハ1からデハ5の5両が存在しましたが、後にデハ4が忌み番としてデハ6に改番され、クハ14形が電動車化されデハ7となったことで、最終的にはデハ1、デハ2、デハ3、デハ5、デハ6、デハ7の6両となりました。

脚注

[1] 運転席には運行風景、側面窓には昭和30年代の映像が映し出されるようになっている。

参考文献・外部リンク

根宜康広『一畑電車がゆく　【松江〜出雲】神々の棲まう里を旅する』今井書店、1999年。ISBN 4-89678-040-X
北総レール倶楽部 一畑電鉄（インターネットアーカイブ）

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