一畑電気鉄道2100系電車

一畑電気鉄道2100系電車

一畑電気鉄道2100系電車は、一畑電鉄が1994年から1995年にかけて導入した通勤形電車です。これは、同社が京王帝都電鉄（現・京王電鉄）から譲り受けた5000系を改造したもので、4編成8両が製造されました。一畑電鉄にとって、初めて冷房装置、カルダン駆動装置、発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキを搭載した車両として画期的でした。

車体と内装

外観は、従来の車両から一新され、イエローをベースに、窓下にホワイト、貫通扉と側扉にブルー、車体裾部分にグレーを配した斬新なデザインとなりました。車体は普通鋼製で、前面にはパノラミックウィンドウが採用されています。行先表示器は、正面貫通扉窓下に字幕式で設置され、側面にも行先表示器があります。また、ワンマン運転に対応するため、前面窓の両側にはサイドミラーが取り付けられています。

初期に導入された2編成は3扉車でしたが、後から導入された2編成は座席数を確保するため中央の扉が埋められ、2扉車となりました。車内はロングシートで、ワンマン運転に対応した乗車整理券発行器、運賃表示器、自動両替機付き運賃箱が設置されています。また、防犯カメラが連結面に設置されています。

行先表示

正面の行先表示器は、各駅停車時は終着駅名をゴシック体縦書きで表示します。急行運転時には、赤地に白抜きの「急行」表示を上部に添えた横書き表示を使用します。側面の行先表示器は、急行運転時には種別と行先を併記して表示します。

機器

制御方式は抵抗制御で、主電動機は三菱電機製のMB-3054（75kW）を採用しています。駆動方式はWN駆動方式で、台車は帝都高速度交通営団（現・東京地下鉄）3000系から流用したFS510を使用しています。パンタグラフは、デハ2100形の連結面に1基設置されています。

クーラーは分散型で、デハ2100形は7基、デハ2111・2112・2114は8基、デハ2113は6基搭載されています。また、デハ2113を除く7両はベンチレーターを備えています。

運用

1994年の運行開始以来、北松江線と大社線で運用されています。2014年からは、2103編成「楯縫」と2104編成「ご縁電車しまねっこ号」が連結して、平日朝の特急「スーパーライナー」に使用されています。なお、過去には5000系の代走としてスーパーライナーに使用されたこともあります。

本系列は貫通型ですが、幌がないため、編成内での通り抜けはできません。

各編成の変遷

2101編成: 2009年に脱線事故を起こしましたが、修復後に復帰しました。2012年には京王時代の塗装に復元され、2018年にはデハニ50形をイメージしたオレンジ色に白帯のカラーリングに変更されました。
2102編成: 2012年に一畑電鉄時代の塗装で運行されていましたが、2018年に引退し解体されました。
2103編成: 2011年には「わさお」電車、その後「鶴丸」ラッピング電車として運行されました。2013年にはイベント用車両「IZUMO-BATADEN 楯縫」に改造されました。
2104編成: 2010年に映画PRラッピング列車、2012年に「神話博しまね」PRラッピング列車として運行されました。2013年からは「ご縁電車しまねっこ号」として運行されていましたが、2019年に運行を終了し、修繕後に外装を変更して運用されています。

今後の予定

2018年から2020年にかけて延命修繕が行われた2101編成と2104編成は、2024年から2025年にかけて新造される7000系に置き換えられ、廃車となる予定です。

関連項目

本系列は、他社にも譲渡された京王5000系の一例として、以下の車両が挙げられます。

富士急行1000形・1200形電車
高松琴平電気鉄道1100形電車
伊予鉄道700系電車
わたらせ渓谷鐵道わ99形客車
* その他、銚子電鉄や岳南鉄道にも在籍しています。

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