一節切

一節切（ひとよぎり）とは

一節切は、尺八の前身とも言われる日本の伝統的な楽器で、真竹で作られた縦笛の一種です。名称は、楽器の構造に由来しており、節が一つだけで構成されていることが特徴的です。一般的に、尺八は竹の根元部分を使用しますが、一節切は中間部分から作られるため、相対的に細身で薄い作品となっています。

構造と音域

一節切の全長は約34cm（1尺1寸1分）で、尺八と同様に前面に四つ、裏面に一つの手孔、計五つの音孔を持っています。一節切は尺八に比べて音域が狭く、通常は約1オクターヴ半程度です。この音域の制約から、一節切は特定の音楽スタイルでの使用が主であり、その独特な音色には特別な魅力があります。

歴史と著名な演奏者

一節切は、武士や上流階級の間で特に好まれ、前野良沢や一休宗純、雪舟、北条幻庵といった著名な奏者たちがその名手として知られています。また、織田信長に仕えた大森宗勲もその技量で名を馳せました。しかし、江戸時代初期以降、一般市民には普及せず、音域が広く音量も大きい普化尺八が流行したため、一節切の人気は次第に衰えていきました。現代では、一節切の楽譜は残っているものの、演奏に必要な音価の指定が不明なため、当時の演奏を再現することは難しく、多くは音楽愛好家からの研究対象とされています。

有名な一節切

一節切の中でも特に有名な楽器の一つに、『乃可勢（のかぜ）』があります。この楽器は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑に継承されたことで知られています。また、薩摩地方には『天吹（てんぷく）』と呼ばれる小型の縦笛が存在し、一節切に似た特徴を持っています。

現代との関わり

近年、テレビ番組『開運!なんでも鑑定団』で安土桃山時代の一節切が登場し、150万円という評価がついたことで再び注目を集めました。このように、一節切は歴史的価値と独特の音色から、現在も多くの人々に愛されています。

まとめ

一節切は、日本の豊かな音楽文化の中で重要な位置を占めている楽器です。そのユニークな構造と歴史的背景から、今後も音楽愛好家や研究者の間で探求され続けることでしょう。

もう一度検索