音孔

音孔（トーンホール、指穴）について

音孔とは、管楽器（特に木管楽器）において、音の高さを変えるために管の側面に設けられた穴のことです。古くは「指穴」とも呼ばれ、指で直接塞いで音の高さを調節していました。現代の西洋式木管楽器では、キー機構によって操作されることが一般的になっています。

音孔の原理

管楽器は、管内の空気振動（気柱共鳴）を利用して音を出します。音の高さは、共鳴する気柱の長さに依存するため、音孔を開閉することで気柱の長さを変え、音高を変化させます。管が短くなれば音は高くなり、長くなれば低くなります。

オカリナのように気柱の共鳴を用いない楽器もあります。オカリナは、空洞の体積と開放された指穴の面積によって共鳴周波数が決まります。

音孔の開閉による共鳴管の伸縮

音孔は、管に穴を開けることで、そこから先の管を共鳴管として機能させなくする役割を果たします。穴を指で塞げば、再び元の長さの管として機能します。理想的には、音孔の大きさは管の直径と同じであるべきですが、指で塞ぐことが困難になるため、実際には管の直径よりも小さい穴が用いられます。

原始的な木管楽器の音孔「指穴」

音孔が管の太さに対して小さい場合、音孔の位置が同じでも、孔が小さければ小さいほど音は低くなります。そのため、古楽器や民族楽器では、音孔は理論上の位置よりも若干吹き口に近い位置に設けられています。また、指で孔の開け具合を調整することで、音の高さを微調整することも可能です。さらに、音孔はオーバーブローを出しやすくするために利用されることもあります。

「キー装置」の発明

音量を大きくし、正確な音程を得るためには、大きな音孔を理想的な位置に設ける必要があります。しかし、大きな音孔は指で塞ぐことが困難であるため、西洋の管楽器では、機械仕掛けの「キー装置」が考案されました。キー装置によって、演奏者は指が届かない位置にある音孔も操作できるようになり、楽器の設計自由度が大幅に向上しました。

「キー装置」の効用と発展

キー装置の導入により、音量が増し、演奏が容易な楽器が開発され、音域が拡大しました。また、半音階や転調など、複雑な楽曲の演奏も容易になり、音楽の発展を促しました。様々な形式・大きさのキー装置や新楽器が開発されましたが、厳しい歴史の淘汰を経て、現在まで生き残ったものが、現代の木管楽器群です。

物理制約と生楽器の限界

キーカップを音高に影響しない程度まで音孔から十分に離すことは難しく、キーカップの角度調節には熟練した技術が必要です。人間の熟練と物理法則の制約から完全に自由になることはできませんでした。

キー装置の分類

キー装置には、以下のような分類があります。

押さえると孔を閉じるキーと、孔を開くキー
ひとつの孔の開閉を操作するキーと、複数の孔を開閉するキー
あるキーの操作が、他のキーに連動しているもの
ひとつの孔の操作のために、複数のキーのどちらかを操作するもの
キーカップの中央に穴が開いていて、それを指で塞ぐリングキー
オーバーブローの吹奏を補助するためのオクターブキー、レジスターキー

関連項目

木管楽器（特に木管楽器#音の高さを変える方法）
歌口

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