一過性脳虚血発作

一過性脳虚血発作（TIA）とは？

一過性脳虚血発作（Transient Ischemic Attack、TIA）は、脳の血流が一時的に途絶えることで起こる、一過性の神経症状です。脳梗塞と同様に脳血管疾患の一種ですが、症状は24時間以内に完全に消失するという特徴があります。しかし、TIAは脳梗塞の危険信号であり、放置すると脳梗塞へと進行する可能性が高いため、早期発見と治療が非常に重要です。

TIAの症状

TIAの症状は、血流が遮断された脳の部位によって異なります。主な症状として以下のものがあげられます。

内頚動脈領域の症状： 片側の麻痺、感覚異常、言葉がうまく話せない（構音障害）、理解できない（失語症）など
椎骨脳底動脈領域の症状： めまい、視野の一部が見えない（同名半盲）、平衡感覚の障害（運動失調）、体の片側または両側の麻痺や感覚異常、言葉がうまく出てこない（構語障害）など

これらの症状は、突然発症し、数秒から15分程度で消えますが、長くても24時間以内には消失します。具体的な症状としては、片方の目が急にみえにくくなったり、物が二重に見えたり、ふらついたり、手足がしびれたり、言葉がでなくなったりするなど、様々な症状が現れます。

TIAの原因

TIAの原因は、脳への血流を妨げる様々な要因が考えられます。主な原因としては、以下のものが挙げられます。

頭蓋外動脈の血行障害
小さな血栓による塞栓
血管の痙攣

これらの原因は、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病と深く関連していることが多く、これらの疾患を持つ人はTIAのリスクが高まります。

TIAの診断

TIAを疑う場合、まずはFASTテストと呼ばれる簡単な自己チェックを行うことができます。

Face（顔）： 口角を上げて笑顔を作ってみます。片側の口角が上がらない場合は、顔面麻痺の可能性があります。
Arm（腕）： 目を閉じて、両腕を前に伸ばします。片方の腕が下がったり、回転したりする場合は、腕の麻痺の可能性があります。
Speech（言葉）： 簡単な文章を言ってみます。「太郎が花子にリンゴをあげた」など、早口言葉も有効です。言葉が出にくかったり、うまく話せない場合は、言語障害の可能性があります。
Time（時間）： 上記の3項目で異常が見られたら、すぐに医療機関を受診する必要があります。

FASTテストで異常がなくても、TIAの症状が出た場合は、医療機関で精密検査を受けることが重要です。CTスキャンではTIAを確認することはできませんが、MRI検査や脳血管撮影などの検査で、脳血管の異常を特定することができます。

TIAと脳梗塞への移行

TIAは、脳梗塞の前触れとなることが多く、TIA発症後、短期間のうちに脳梗塞を発症するリスクが高いことが知られています。特に、TIA発症後2日以内の脳梗塞リスクは高く、迅速な治療が重要です。ABCD2スコアを用いて、脳梗塞への進展を予測することもできます。

TIAの治療

TIAの治療は、原因と症状に応じて行われます。

薬物療法： 抗凝固剤や血小板凝集阻止剤などの薬剤を使用し、血栓の形成を防ぎます。
* 外科的療法： 頚動脈の狭窄が強い場合は、血栓内膜摘除術やバイパス手術などが行われます。

TIAは緊急性の高い疾患です。症状が現れたら、すぐに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。早期発見と治療によって、脳梗塞のリスクを大幅に軽減することができます。

診療科

TIAの治療は、脳神経外科または神経内科で受けられます。

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