パルスオキシメーター

パルスオキシメーターとは

パルスオキシメーターとは、皮膚を通じて動脈血の酸素飽和度（SpO2）と脈拍数を非侵襲的に測定するための医療機器です。この装置は、赤色の光が出るプローブを指先に挟むことで、これらのデータをリアルタイムでモニタリングします。また、測定結果を内部メモリーに記録することができるものも存在します。

概要

この機器は、針を刺したり切ったりすることなく簡単に動脈血の酸素飽和度を計測できるため、麻酔管理や手術時、ICUなどでの患者モニタリングだけでなく、在宅酸素療法の指導にも利用されます。このように、SpO2を測定することで心肺機能が常に正常かどうかを把握できるため、予防的な健康診断の手段としても活用されています。

特に、睡眠時のデータを記録できるモデルは、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング診断にも役立つことがあります。さらに、新型コロナウイルスの影響により、感染者の在宅療養中に健康状態を確認するために、パルスオキシメーターが地方自治体から貸与されるケースが増えてきました。

加えて、スポーツのトレーニングにおいては、運動強度のモニタリングに小型の腕時計型装置が使用されることもあります。登山者たちは、高所での活動における高度順応を評価するためにも、この装置を利用します。

発明の歴史

日本光電工業株式会社の青柳卓雄、岸道男、田貫甚之助によって、1974年にこの技術が発明されました。最初の特許は、光学式血液測定装置に関連するもので、同年中にミノルタカメラからも類似の特許が出願されました。これらの発明は、患者の安全を大きく向上させる重要な進歩となりました。

原理

パルスオキシメーターは、発光部と受光部から構成されています。発光部は赤色光と赤外光を放出し、これらの光が指先を透過または反射した後に受光部がそれを測定します。この光の吸収量は血液中のヘモグロビンの酸素との結合状態に依存します。酸素化されたヘモグロビンは特定の波長の光を吸収するため、これを解析することでSpO2を算出します。

バリエーションと利用方法

1977年には、初の指先測定型パルスオキシメーターが商品化され、1980年代にはアメリカで麻酔中のモニターとして定着しました。初期製品は較重な据え置き型が多かったのですが、1990年代以降は携帯型や腕時計型などの小型装置も登場しました。特に、1997年には超小型の装置が市場に出回り、手軽に利用できるようになりました。

現在では、医療機関だけでなく、一般店舗での貸し出しサービスも始まっています。ユーザーは、自宅で測定を行い、結果を医療機関に送信することができ、特に睡眠時無呼吸症候群の検査などに活用されています。また、高山病予防や、酸素不足の高地での状況確認などにも対応しています。

数値の重要性と注意点

一般的に、SpO2の標準値は96%から99%とされ、95%未満になると呼吸不全の可能性があるため、注意が必要です。特にCOVID-19患者では、血中酸素飽和度が96%以上であれば軽症とされるなど、パルスオキシメーターの数値は重要な指標となります。

ただし、極度の低血圧や末梢の血流低下などがある場合、正確な測定が困難になることや、一酸化炭素中毒などではSpO2が正確に判断できないことにも留意しなければなりません。また、測定値の解釈は医師による診断が必要です。

パルスオキシメーターは、健康管理や疾病予防のための重要なツールとして、今後も活用の場が広がっていくと考えられています。

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