丁巳約条

丁巳約条とは

丁巳約条（ていしやくじょう）は、1557年に朝鮮王朝と対馬の宗氏の間で締結された来航者取締規則を指します。この約条は、当時の日本と朝鮮の貿易関係を規定する重要なものであり、その後の国際関係に大きな影響を与えることになりました。

背景

その成立に至る背景には、1512年に結ばれた壬申約条がありました。これは、朝鮮王朝が宗氏に対し、貿易再開の条件として厳しい要求を課したものです。しかしながら、その後の1544年には蛇梁倭変が発生し、日本と朝鮮の通交は再び断絶され、1547年にはさらに厳しい丁未約条が締結されることとなりました。これらの条約は、両国間の交流を制約し、貿易環境を悪化させる要因となりました。

丁巳約条の締結

1555年に発生した達梁倭変では、韓国の全羅道を中心とした沿岸部が大きな損失を被りました。このため、朝鮮王朝は宗氏に対して、倭寇の取り締まりを強く要望しました。また、貿易再開を図る宗氏も倭寇の討伐を実施し、壬申約条や丁未約条における条件の緩和を求めていました。これらの経緯を受けて、1556年には日本側から国王使が朝鮮王朝に派遣され、交渉が行われました。

交渉の結果、翌1557年の4月には丁巳約条が締結されることとなりました。この約条では、倭寇の取締りを条件に、宗氏の歳遣船の数が年25隻から30隻に増加することが合意されました。この合意は、貿易の再開とともに、国際関係を安定させる一助となったのです。

丁巳約条の影響

丁巳約条は、豊臣秀吉の朝鮮出兵まで、朝鮮王朝と対馬との関係の基盤を形成しました。この約条は、貿易活動の活発化を促進し、海上の安全を確保するための重要な枠組みとして機能しました。また、倭寇の取り締まりを通じて、両国の貿易関係が改善される一因ともなりました。

まとめ

丁巳約条の締結は、朝鮮王朝と対馬の宗氏の関係を改善し、貿易環境を整える重要な出来事でした。この約条によって、それまでの厳しい通商条件が見直され、両国間の交流のきっかけとなったのです。今なお、丁巳約条は歴史的重要性を持つ契約として評価されています。

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