七輪

七輪とは

七輪（しちりん）は、木炭を燃料とする小型の土製コンロです。その起源は古く、江戸時代から一般家庭で広く使われてきました。軽量で持ち運びが容易なため、屋内外問わず様々な場所で利用されてきました。関西地方では「かんてき」とも呼ばれます。

七輪の構造と特徴

七輪の形状は、円筒形、四角形、長方形など様々で、用途に応じて多種多様なものが製造されています。主な材料は珪藻土で、内部に微細な空洞があるため断熱性が高く、熱効率が良いのが特徴です。そのため、本体が熱くなりにくく、持ち運びにも便利です。また、七輪には、木炭を使用することを推奨するラベルが貼られていることが多く、練炭の使用は推奨されていません。

七輪の種類

七輪には、大きく分けて「切り出し七輪」と「練り物七輪」があります。

切り出し七輪: 珪藻土の塊を切り出し、削って成形したもので、手間がかかるため高価です。
練り物七輪: 珪藻土を粉砕し、粘土状にして金型でプレス成形したもので、比較的安価です。

また、薪を燃料とする「薪七輪」もあります。

七輪の歴史

七輪の原型となるものは、古代から存在したと考えられますが、現在のような七輪は江戸時代に登場しました。当初は土師製の炉が使われていましたが、珪藻土製のものが主流となりました。江戸時代には、今戸焼が七輪の製造で有名でした。上方では、バケツのような形状の「かんてき」が使用されていました。

明治時代になると、木炭を多く使える深い形状の七輪が主流になり、大正時代以降は豆炭も燃料として使われるようになりました。第二次世界大戦後には、都市部の庶民生活を支える調理器具として重宝されました。

七輪の衰退と復活

昭和中期以降、ガスコンロなどの普及により、家庭での七輪の利用は減少しましたが、近年、アウトドアブームや炭火焼きの需要の高まりとともに、再び人気を集めています。現在では、ホームセンターやインターネット通販で手軽に入手できるようになりました。

七輪の産地

かつて七輪の三大産地として知られていたのは、愛知三河、石川珠洲・和倉、四国香川です。しかし、需要の減少に伴い、多くの製造業者が廃業し、現在では数社しか残っていません。それぞれの産地で、特徴のある七輪が製造されています。

愛知三河: 二重構造の七輪や、瓦素材で覆った耐久性の高い七輪を製造しています。
石川和倉: 珪藻土を粉砕して成形した七輪を製造しています。
石川珠洲: 珪藻土を切り出して成形した高級な七輪を製造しています。

七輪の語源

七輪の語源には諸説ありますが、はっきりとしたことは分かっていません。一説には、わずかな木炭で十分な火力を得られることから、名付けられたと言われています。

七輪の多様な利用

七輪は、調理器具としてだけでなく、陶芸にも利用されています。七輪を組み合わせることで、本格的な陶芸の焼成が可能です。また、海外では、七輪の構造を元にしたバーベキュー台が開発されています。

七輪と環境問題

木炭を製造する際に、薪の熱量の多くが使われてしまいます。そのため、薪の節約のために、七輪の製造技術を途上国で伝え、普及させる活動も行われています。

まとめ

七輪は、日本の食文化を支えてきた伝統的な調理器具です。その手軽さや独特の風味から、現代でも多くの人々に愛されています。今後も、様々なシーンで活用されていくでしょう。

関連項目

焜炉
火起こし
陶芸
練炭
木炭
サンマ
グリル
* 直火焼き

もう一度検索