七面天女

七面大明神について

七面大明神、またの名を七面天女は、日蓮宗の信仰の中で法華経を守護する重要な女神です。元々は日蓮宗の総本山である身延山久遠寺の守護神として崇拝されてきましたが、日蓮宗が広がるにつれて、各地の寺院でも神として祀られるようになりました。彼女の本拠地は山梨県南巨摩郡早川町にある標高1982メートルの七面山の山頂に位置する寺、敬慎院に存在します。七面大明神は吉祥天や弁財天とも関係付けられる存在で、彼女にまつわる伝説も数多く残されています。

この神の伝説の一つによれば、日蓮の弟子である日朗と南部實長公が登山した際、永仁5年（1297年）9月19日の朝に七面大明神を勧請したとされています。七面山は古くから修験道の山として知られ、山頂には池大神が祀られています。この池大神は、役の小角の姿をしていると言われ、日蓮聖人の時代以前から存在していた山岳信仰の一つです。

伝承によると、かつて京都の公卿の姫が病にかかった際、厳島明神から七面山に存在する霊山の水で浄めれば病が治るというお告げを受け、実際に癒やされたという故事もあります。七面大明神にまつわる縁日は毎月18日または19日となっています。

七面大明神の伝承

日蓮は身延に隠棲し、特に思親閣がある身延山の山頂で亡き父母の墓を拝して彼らをしのんでいました。建治3年（1277年）、彼が山頂から下山する際に、妙石坊の高座石という大きな石に座って信者に向けて説法をしていると、一人の美しい女性が熱心に聞き入っているのを見ました。その女性は全く見覚えがない様子で、南部公など同客たちは不思議に思ったそうです。日蓮はその女性に物の本当の姿を見せるように促すと、その女性は笑みを浮かべて「お水を少し賜りとう存じます」と答えました。

日蓮が水を一滴与えると、その女性は緋色の紅龍に姿を変え、「私は七面山に住む七面大明神です」と述べました。以来、彼女は身延一帯を守護すると宣言し、飛び去ってしまいました。その光景を目撃した人々は感激し、涙を流しました。

日蓮は後に七面山に登り、七面大明神を祀ろうと考えましたが、生前には実現しませんでした。日蓮が亡くなった後、16年目に彼の最も信頼されていた弟子、日朗は南部公と共に七面山を訪れ、初めて七面大明神を祀ることになります。当時、七面山はほぼ登山道がなく、非常に困難な道のりだったと言われています。日朗一行は尾根を越え、やっとの思いで山頂へ辿り着き、そこで日朗は姿を現した七面大明神から神託を受け、影嚮石を祀ることになります。この出来事は永仁5年の9月19日、七面山奥之院の開創として記録されています。

その後、社殿は何度か改築され、現在のように立派な形に整えられました。また、日蓮系の新宗教ではこの地域が「法華経の聖地」とされており、特に霊友会などでは「身延団参」という年間行事が行われており、七面山中で法華経の修行が行われています。

祀る神社・寺社

七面大明神を祀る神社や寺院は全国に存在しますが、代表的なものには以下のような場所があります。

• - 身延山久遠寺（山梨県南巨摩郡身延町）: 法華経を守護する神として知られる。
• - 七面大天女神社（福島県会津若松市）: 福島県に位置するこの神社でも七面大明神が祀られています。

このように、七面大明神の信仰は時代や地域を超えて広がっており、今なお多くの人々に敬愛されています。

もう一度検索