万代駅

万代駅：信濃川岸に消えた貨物駅の記憶

万代駅（ばんだいえき）は、かつて新潟県新潟市流作場に存在した、日本国有鉄道（国鉄）の貨物駅でした。信濃川の岸辺に、その短い歴史を刻みました。

開業と役割

万代駅は、新潟駅の貨物輸送の混雑を緩和するため、貨物専用駅として1951年（昭和26年）に開業しました。当時、高度経済成長に向けて貨物輸送の需要が高まる中、新潟駅の旅客と貨物の輻輳を解消することが急務となっていました。

亀田駅 - 万代駅間：8.9km
関屋駅 - 万代駅間：7.2km
新崎駅 - 万代駅間：12.0km（白新線開業に伴い設定）

これらの路線を通じて、新潟県内各地や本州各地との貨物輸送を担っていました。

新潟地震による壊滅と廃止

しかし、万代駅の命運は、1964年（昭和39年）6月16日に発生した新潟地震によって大きく狂わされました。地震による液状化現象や津波により、駅施設は壊滅的な被害を受けました。復旧には莫大な費用と時間がかかるため、国鉄は万代駅の廃止を決定しました。

1965年（昭和40年）8月20日、新潟駅 - 万代駅間の貨物運輸営業廃止に伴い、万代駅はその短い歴史に幕を閉じました。

その後

駅の廃止後、その広大な跡地は長らく遊休地となっていましたが、1983年（昭和58年）10月には「新潟みなと鮮魚センター」がオープンし、新たな賑わいを見せています。鮮魚センターは、新潟漁港で水揚げされた新鮮な魚介類を販売する市場として、市民や観光客に親しまれています。

かつて万代駅があった場所は、今や新鮮な魚介類が並ぶ活気ある市場となり、人々の生活を支える新たな役割を担っています。

幻の短絡線計画と専用線

万代駅の歴史の中で、実現することのなかった計画として、沼垂駅 - 万代駅間の短絡線の建設がありました。この短絡線が建設されていれば、貨物輸送の効率化が図られ、万代駅の役割はさらに大きくなっていたかもしれません。

また、万代駅には多くの専用線が接続していました。1964年7月1日現在の専用線は以下の通りです（新潟地震被災後のため、全て使用休止）。

日本セメント株式会社専用線：0.6km
白勢商事株式会社専用線：0.1km
三菱石油株式会社専用線：0.8km、出光興産専用線に接続
出光興産株式会社専用線：0.7km、日本セメント専用線に接続
日本通運株式会社専用線：0.2km
富士運輸株式会社専用線：0.1km
北陸天然ガス興業株式会社専用線：0.1km
* 新潟県専用線：0.4km、公共臨港線

これらの専用線は、新潟県内の産業を支える重要な役割を果たしていました。

万代公共臨港線

万代駅廃止後の1967年（昭和42年）5月1日には、新潟港駅を分岐点とする万代公共臨港線（2.5km）が開業し、旧万代駅付近まで線路が伸びました。しかし、この臨港線も1985年（昭和60年）に廃止されています。

最後に

万代駅は、短い歴史の中で、新潟の貨物輸送を支え、産業の発展に貢献しました。新潟地震という未曾有の災害によってその役割を終えましたが、その記憶は、新潟みなと鮮魚センターとして、今もなお人々の生活の中に息づいています。

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