万尺寺

萬尺寺（まんしゃくじ）

岐阜県美濃加茂市にある臨済宗妙心寺派の寺院、萬尺寺は、恵昌山を山号としています。この寺は、美濃三十三観音霊場の二十二番札所、中部四十九薬師霊場の四十八番札所、そして中濃八十八ヶ所霊場の六十番札所という、複数の霊場に名を連ねる由緒ある寺院です。

歴史

萬尺寺の創建は、正治年間（1199年～1201年）に畠山重忠によって、天台宗の七堂伽藍を備えた壮大な寺院として、字城房の地に建立されたと伝えられています。しかし、兵火により焼失したため、文明3年（1473年）に字小見殿へと場所を移し、規模を縮小して再建されました。その後、寛文8年（1668年）に実性和尚によって、臨済宗妙心寺派の寺院として新たに歩み始めました。

元禄5年（1692年）には再び火災に見舞われ、伽藍が焼失してしまいます。しかし、その2年後には仮本堂が建てられ、復興への歩みが始まりました。現在の本堂は昭和50年（1975年）に再建されたもので、この地で長い歴史を刻んでいます。

本尊と信仰

本尊は聖観世音菩薩で、17年ごとに開帳される秘仏です。この観音菩薩は特に子育て観音として地域の人々から厚く信仰されています。また、境内には阿弥陀堂があり、通称「観音堂」として親しまれています。この阿弥陀堂では、毎年12月18日に観音講が行われ、多くの人々が参拝に訪れます。堂内には、阿弥陀如来や薬師如来のほか、子胎地蔵、福寿稲荷、荼枳尼天など、様々な仏様や神様が祀られています。

祭り

萬尺寺では、毎年8月9日に「九万九千日の祭り」が開催されます。この祭りは、地域の人々にとって重要な行事の一つとなっています。

参考文献

『美濃加茂市史　民俗編』　第一二章　仏寺と法会　第二節　太田　万尺寺　p393　美濃加茂市　1978年
『美濃国加茂郡誌』　第七章　宗教　第二節　寺院　【太田萬尺寺】　p749～p750 　岐阜県加茂郡役所　大正10年
* 『美濃西国三十三観音霊場巡礼』

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