万来町事件

万来町事件について

万来町事件は、1952年6月5日に山口県宇部市で発生した暴動であり、その背景には在日韓国・朝鮮人の生活保護に関する問題が存在しました。当時、宇部市には約3100人の在日韓国・朝鮮人が居住し、その多くは生活保護を受給していました。しかし、市の当局は彼らが「日中ブラブラしている」と判断し、それを根拠に生活保護の増額を行いませんでした。この判断は、在日韓国・朝鮮人コミュニティにとって非常に不満の残るものでした。

事件の発端

この状況に激昂した朝鮮人たちは、1952年5月31日から連日、宇部市の福祉事務所に押しかける行動を取りました。彼らは職員に対し、強い抗議の声を上げ、生活保護の増額を要求しました。抗議行動は段々とエスカレートし、6月3日には約400人が集まり、宇部市警察は全職員を動員して対処する必要に迫られました。しかし、朝鮮人側はその隙を突き、留守中の上宇部派出所を襲撃する事態になりました。

事件の概要

その後、6月5日、宇部市万来町では朝鮮人解放救援会山口県本部が「民主愛国青年同盟」を結成し、県内各地から多くの朝鮮人が集結しました。彼らの中から約70人が、午前11時に宇部興産の工場に乱入し、守衛に暴行を加え、電話線を切断するなどの行為を行いました。この襲撃は、彼らの不満の表出とも言えます。

それに続いて、民団の団員宅も襲撃され、混乱が続きました。警察はその後、襲撃を受けた解放救援会の事務所を包囲し、午後2時に解散を呼びかけました。しかし、朝鮮人側は投石などで激しく抵抗し、事態は更に悪化しました。

午後3時30分から、警察は実力行使を開始し、午後4時からは催涙ガス弾も使用しました。これによりようやく事態は鎮圧されましたが、事件が引き起こした混乱は深刻なものであり、当時の社会情勢を反映した出来事でもありました。

まとめ

万来町事件は、在日韓国・朝鮮人の生活保護という社会問題が引き起こした暴動であり、その根源には差別と不満が存在していました。事件の発生は、単なる個別の抗議行動ではなく、戦後の社会における在日韓国・朝鮮人の地位や待遇に対する大きな反響をもたらしました。この事件以降、関連する問題を真剣に考える契機ともなり、今後の日本社会における多文化共生の重要性を再認識させる出来事となったのです。

参考文献

• - 山口県警察史編さん委員会編 『山口県警察史 下巻』山口県警察本部、1982年

関連項目

• - 宇部市
• - 生活保護
• - 宇部市警察

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