万福寺 (北上市)

万福寺（まんぷくじ）は、岩手県北上市に位置する歴史ある本山修験宗の寺院です。福寿山（ふくじゅさん）という山号をもち、地元では立花毘沙門堂（たちばなびしゃもんどう）の名でも親しまれています。

創建年代は明らかではありませんが、伝承によれば、平安時代前期に天台宗の高僧である円仁（えんにん、794年 - 864年）によって開かれたとされています。円仁は、立石寺（山形県）や中尊寺（岩手県）など、東北地方の多くの寺院の開基に関わった人物として知られています。

万福寺は、古くから山岳信仰と修験道の寺として栄えました。修験道とは、山岳を修行の場として、厳しい修行を通じて悟りを開こうとする日本古来の宗教です。江戸時代には、京都の聖護院を本山とする本山派の修験道に属し、地域における修験道の拠点としての役割を果たしていました。

境内には、国の重要文化財に指定されている貴重な仏像が安置されています。中でも有名なのは、木造毘沙門天立像です。毘沙門天は、仏教における四天王の一人で、特に戦勝や財福の神として信仰されています。万福寺の毘沙門天立像は、その力強い姿と繊細な彫刻で見る者を魅了します。

また、同じく重要文化財に指定されている木造二天王（持国天・増長天）立像も必見です。持国天と増長天は、それぞれ東方と南方を守護する四天王の一員であり、毘沙門天と共に仏法を守護する役割を担っています。これらの仏像は、長年にわたり万福寺の歴史を見守り続けてきました。

万福寺へのアクセスは、JR北上駅からバスを利用し、「おに丸号・稲瀬線」に乗車、「毘沙門前」バス停で下車するのが便利です。バス停からは徒歩すぐです。また、車の場合は、北上駅から約15分、北上江釣子ICからは約20分で到着します。駐車場も完備されているため、車での訪問も安心です。

豊かな自然に囲まれた万福寺は、静かで落ち着いた雰囲気の中で、歴史と文化に触れることができる場所です。春には桜、秋には紅葉が美しく、四季折々の風景を楽しむことができます。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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