三ツ城古墳

三ツ城古墳群の概要

三ツ城古墳群（みつじょうこふん）は、広島県東広島市の西条中央地域に存在する古墳の集合体です。この古墳群は、国の史跡に指定されており、古代の歴史を伺い知る貴重な遺跡となっています。古墳群は主に3基から構成されており、その中でも特に1号墳は広島県最大の古墳とされ、古墳時代中期にあたる5世紀前半頃に造られたと考えられています。

立地と発掘調査

古墳群は西条盆地の南端、八幡山から北に延びる丘陵の先端部に位置しており、1954年と1987年から1991年にかけて発掘調査が行われました。これにより、古墳の詳細な構造や出土品が明らかにされています。

古墳の詳細

古墳群の中心である1号墳は、前方後円墳の形をしており、墳丘の長さは約92メートル、後円部の直径約62メートル、高さ約13メートルという規模です。この墳丘は3段の築成で、外表には葺石や様々な形状の埴輪が見られ、出土した埴輪の総数は約1,800本に達しています。また、墳丘には深さ約1メートルの周濠が巡らされており、遺構全体の防御性を高めています。

埋葬施設と出土品

1号墳の埋葬施設は、後円部の頂上に位置する箱式石棺が3基あります。特に注目すべきは、2基の埋葬施設において石棺の周りが石で囲まれ、二重構造が施されている点です。出土品には人骨、玉類、鉄製の武器などがあり、古代の人々の生活や文化を示しています。具体的には、1号埋葬施設からは人骨1体、玉類18点、銅鏡1枚、鉄刀2本が出土し、他の埋葬施設でも多くの貴重な品が見つかっています。

2号墳と3号墳

2号墳は円墳で、直径約25メートル、高さ約4メートルの規模を持ち、埋葬施設には箱式石棺が1基設置されていますが、残念ながら石棺は早期に失われたため詳細は不明です。この古墳も1号墳に先行するものと考えられています。

3号墳は楕円形で、長径約8メートル、短径約4メートル、高さ約1メートルの規模です。この古墳も箱式石棺を持ちますが、石棺内からの出土品は確認されていません。築造時期は古墳時代後期の6世紀前半とみられています。

文化財指定と現状

1982年に国の史跡に指定された三ツ城古墳群は、2001年にはその範囲が追加指定されました。現在、保存復元工事が進められ、「三ツ城近隣公園」として一般に公開されており、訪れる人々は古代の歴史と文化に触れることができます。

アクセスと関連施設

三ツ城古墳群は広島県東広島市西条中央7丁目に位置し、JR西条駅からは芸陽バスを利用して「中央図書館前」バス停で下車後、徒歩約5分の距離にあります。また、古墳の解説パネルを展示している三ツ城古墳パネル展示室や出土品が展示されているガイダンスコーナーも地域に設置されています。

このように、三ツ城古墳群は単なる古墳以上の歴史的価値を持つ場所であり、古代の人々の暮らしや信仰に思いを馳せる手段として、訪れる人々に貴重な体験を提供しています。

もう一度検索