三ヶ日みかん

三ヶ日みかんとは

三ヶ日みかん（みっかびみかん）は、静岡県浜松市浜名区三ヶ日地区とその周辺地域で栽培されるウンシュウミカンのブランドです。JAみっかび（三ヶ日町農業協同組合）によって商標登録されており、その品質の高さから全国的に知られています。

歴史

産地の確立

江戸時代中期、紀州（現在の和歌山県）から持ち込まれたキシュウミカンの苗木が、三ヶ日でのみかん栽培の始まりとされています。その後、天保年間には、より大ぶりなウンシュウミカンが導入され、キシュウミカンに代わって栽培されるようになりました。

明治時代に入ると、ウンシュウミカンは本格的なみかん園で栽培されるようになります。大正時代には、専門技術員の中川宗太郎が防風林の利用や栽培技術の指導を行い、三ヶ日地域への栽培が普及しました。

戦後の発展

第二次世界大戦後には、国有地の払い下げや二度の開発計画によって新たなみかん園が造成されました。また、排水溝の整備や共同販売体制の構築も進められました。1960年には三ヶ日町柑橘出荷組合が設立され、「三ヶ日みかん」のブランドが確立されていきました。

1979年には公式キャラクター「ミカちゃん」が誕生し、段ボール箱に印刷されるようになりました。ニセモノが出回った際には、ミカちゃんマークが本物の目印として報道され、知名度向上に繋がりました。

近年の動向

近年では、地域団体商標への登録や、静岡県の認証制度の取得など、ブランド力の強化が進められています。また、摘果された青みかんを活用した商品開発も行われています。三ヶ日高校跡地に建設されたJAみっかび新柑橘選果場は、AIによる選別システムを導入した日本最大規模の施設です。

生産・流通

三ヶ日地区は、南斜面の丘陵地という地形、温暖な気候、そして水はけの良い土壌が、みかん栽培に適しています。主に早生みかんと青島みかんが栽培されており、それぞれ出荷時期が異なります。収穫には「きりこ」と呼ばれる作業員が携わります。

三ヶ日町では畜産業も盛んであり、みかんの残渣を牛の餌に混ぜたり、牛舎からの堆肥を畑に利用するなど、循環型農業が取り組まれています。

栽培のポイント

地理学者の西原純は、三ヶ日みかんが産地として確立した要因として、以下の5点を挙げています。

1. 高品質で市場価値が高い
2. 三ヶ日のブランドが確立している
3. 貯蔵みかんである
4. 共選・共販体制が厳格である
5. 樹齢が県内では最も若い

三恩人の碑

三ヶ日町の稲荷山公園には、山田弥右衛門、加藤権兵衛、中川宗太郎の三恩人に感謝する「柑橘頌徳碑」が建てられています。また、加藤家にはウンシュウミカンの発祥地を示す看板があります。

まとめ

三ヶ日みかんは、温暖な気候と先人たちの努力によって育まれた、静岡県を代表するブランドみかんです。その美味しさはもちろん、地域との繋がりや歴史も魅力の一つです。

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