三上弥

三上弥（みかみ わたる）は、1971年3月2日生まれ。NHKにおいて、アナウンサーとしてキャリアを積んだ後、ニュース・報道番組の編集責任者やプロデューサーを務める人物である。

青森市で生を受けた後、幼少期および学生時代は埼玉県浦和市（現さいたま市南区）や東京都文京区で過ごした。青森県立青森高等学校を卒業し、東北大学法学部で法律を学んだ。大学卒業後の1994年、NHKに入局し、アナウンサーとしての道を歩み始める。

長年にわたり、NHKニュースや国会中継といった、日本の公共放送を支えるニュース・報道番組を中心に担当してきた。その正確で落ち着いた語り口、そしてNHKのアナウンサーらしい誠実な佇まいから、「ミスターNHK」という親しみのある愛称で呼ばれるようになった。この愛称は、特にテレビ番組『あさイチ』で博多大吉氏らによって言及され、広く知られることとなった。

NHK入局以来、青森放送局、新潟放送局、松江放送局、松山放送局、静岡放送局など、各地の放送局で重要な役割を担った。青森放送局時代には地域情報番組『ネットワーク青森610』のキャスターを務め、新潟放送局でも『新潟発ふれっしゅ便』のキャスターを担当した。松江放送局では『しまねっとNEWS610』のキャスターに加え、放送部副部長としてアナウンス統括や制作番組の編集責任者も兼任するなど、管理職としての経験も積んでいる。松山放送局では四国ブロック向けの『NHKニュースおはよう日本』キャスターを務めた。

東京アナウンス室にも二度在籍。一度目は定時のニュース番組や国会中継、『首都圏ネットワーク』のキャスター代行などを担当した。ラジオセンター時代には『土曜ジャーナル』に出演。二度目の在籍時には『首都圏ネットワーク』のニュースリーダーとして、首都圏のニュースを伝えたほか、衆議院議員選挙や東京都議会議員選挙の開票速報番組でキャスターを務めるなど、選挙報道の最前線でも活躍した。

特に印象深いのは、災害報道における貢献である。2019年の令和元年東日本台風（台風19号）発生時には、被災地である長野放送局に応援として派遣され、災害情報の伝達に尽力した。また、静岡放送局在籍中の2021年に発生した熱海市での大規模土石流に際しては、『NHKニュース7』や関連の特別番組でキャスターを務め、被災地の状況や復旧への動きを詳しく報じた。緊急時における正確かつ迅速な情報伝達の重要性を認識し、その役割を果たしてきた。

静岡放送局では2018年から2023年まで約5年間にわたり、『NHKニュースおはよう静岡』のキャスターとして、地域のニュースをきめ細やかに伝えた。また、フィールドリポーターとして現場取材も行うなど、アナウンサーとして幅広い活動を展開した。

2023年7月からはメディア総局報道局に移り、現在はニュース・報道番組の編集責任者およびプロデューサーという、番組制作の根幹に関わる要職を務めている。長年のアナウンサー経験と各地での統括業務で培われた知見を活かし、報道番組の企画・制作を指揮する立場にある。同期には、久保純子氏、小田切千氏、髙橋美鈴氏などがいる。

三上弥氏は、地方局での地域に根差した報道から、全国放送の基幹ニュース、災害時の緊急報道、選挙特番まで、NHKのアナウンサーとして多岐にわたる分野で活躍し、確固たる信頼を築いてきた。現在は、その豊富な現場経験を背景に、報道番組の質の向上に貢献している人物と言える。

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