三上隆三

三上隆三（みかみ りゅうぞう）は、1926年1月4日に生まれ、2019年8月18日に93歳で逝去した、日本の著名な経済学者です。彼の専門分野は理論経済学、貨幣史、そして金融論であり、これらの分野において多大な貢献をしました。経済学博士の学位を持ち、和歌山大学名誉教授として長年教鞭を執りました。

生涯と学歴

京都府出身の三上隆三は、東京商科大学（現在の一橋大学）に進学し、経済学者の鬼頭仁三郎に師事しました。この師弟関係は彼の学問形成に大きな影響を与え、後には鬼頭仁三郎の師である高垣寅次郎の孫弟子という関係にもなります。大学卒業後、和歌山大学経済学部で教鞭をとり、後に同学部の学部長も務めました。さらに、京都学園大学でも教授として経営学部長を務めるなど、教育者としても幅広い活動を展開しました。

研究活動と業績

三上隆三の研究は、特に貨幣に関する歴史と理論に焦点を当てており、その業績は経済学界において高く評価されています。彼の著書は、単なる経済理論の解説にとどまらず、歴史的な視点を取り入れながら、貨幣制度や経済の動きを深く掘り下げています。

主な著書には、『ケインズ経済学の構造 貨幣的経済理論の性格』、『貨幣的経済理論の研究』、『近代利子論の成立』などがあり、経済学の理論的な側面を探求しています。また、『円の誕生 近代貨幣制度の成立』や『円の社会史 貨幣が語る近代』、『江戸幕府・破産への道 貨幣改鋳のツケ』といった著作では、貨幣の歴史を通じて経済社会の変遷を描き出しています。

これらの著作は、経済学の専門家だけでなく、一般の読者にも広く読まれており、経済に対する理解を深める上で重要な役割を果たしています。特に『円の誕生』は、近代貨幣制度の成立過程を詳細に分析したことで、多くの読者に影響を与えました。

受章と晩年

長年の教育・研究活動が評価され、2003年には瑞宝中綬章を受章しました。これは、彼の学術的な貢献が社会的に認められた証と言えるでしょう。また、逝去日には従三位に叙せられ、その生涯に幕を閉じました。

三上隆三は、経済学者としてだけでなく、教育者としても多くの学生を育成しました。彼の教えを受けた人々は、経済学の分野で活躍しており、その影響は現在にも及んでいます。また、その著書は、現代においても経済学を学ぶ上で重要な資料として活用されています。

家族

長男は三井住友フィナンシャルグループ取締役の三上徹であり、家族もまた社会で活躍しています。

三上隆三は、経済学の研究と教育に生涯を捧げ、その功績は後世に語り継がれるでしょう。彼の研究は、現代社会における経済問題の理解に不可欠な視点を提供し続けています。

参考文献

松岡正剛の千夜千冊『円の誕生』三上隆三
三上隆三（経済学者）ほか

もう一度検索