鬼頭仁三郎

鬼頭仁三郎（きとう にさぶろう）は、1900年12月1日に愛知県名古屋市で生まれ、1947年9月29日に逝去した日本の経済学者です。彼は、東京商科大学（現在の一橋大学）で経済学を学び、高垣寅次郎に師事しました。1925年に東京商科大学を卒業後、1928年には同大学の研究科を修了しました。

鬼頭は、東京商科大学図書館に勤務した後、1935年に東京商科大学附属商業専門部教授に就任し、1940年には東京商科大学教授を兼任しました。1945年には東京商科大学附属商学専門部長、同商業教育養成所長となり、後進の育成に尽力しました。1947年には叙官吏一級、正五位に叙せられています。墓所は多磨霊園にあります。

鬼頭の研究における最大の功績は、ジョン・メイナード・ケインズの経済理論の紹介と発展に貢献したことです。特に、ケインズの主著の一つである『貨幣論』を1932年から1934年にかけて翻訳・刊行したことは、日本の経済学界に大きな影響を与えました。また、自身の著作である『貨幣と利子の動態』をはじめとする貨幣論に関する研究を通じて、ケインズの金融理論の発展に大きく貢献しました。

鬼頭は、経済学の教育者としても優れており、三上隆三や吉野昌甫など、後に経済学界で活躍する多くの弟子を育てました。また、英文学者であり作家の北條文緒は彼の娘です。

鬼頭の著作は多岐にわたり、『国際資本移動論』、『貨幣と利子の動態 貨幣経済の性格』、『交易理論の基礎』、『ケインズ経済学解説』などがあります。これらの著作は、当時の経済理論の最先端を捉え、日本の経済学研究の発展に貢献しました。また、晩年には『世界通貨の将来 国際通貨基金との問題』などの国際的なテーマにも取り組みました。彼の業績は、没後も『物価の理論』、『ケインズ研究』、『国際経済と通貨の理論』、『外国為替講義』などとして刊行され、現代の経済学研究においても参照されています。

鬼頭仁三郎は、経済学者としてだけでなく、教育者としても多くの足跡を残しました。彼のケインズ経済学に関する研究は、現代の経済学においても重要な位置を占めており、その功績は長く記憶されるべきものです。鬼頭の思想は、今日の経済学研究においても重要な示唆を与え続けています。

主な著書

『国際資本移動論』(1939年)
『貨幣と利子の動態 貨幣経済の性格』(1942年)
『交易理論の基礎』(1945年)
『ケインズ経済学解説』(1946年)
『世界通貨の将来 国際通貨基金との問題』(1947年)
『物価の理論』(1948年)
『ケインズ研究』(1948年)
『国際経済と通貨の理論』(1949年)
『外国為替講義』(1950年)
『外国為替講義 増補』(1957年)

主な翻訳

* 『ケインズ貨幣論』(1932-1934年)

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