三井弘次

三井弘次の俳優人生

三井 弘次（みつい こうじ、1910年3月6日 - 1979年4月20日）は、日本の映画界で長年にわたり活躍した俳優です。彼は本名を三井 日子秀（みつい ひこひで）といい、戦前から戦後にかけて幅広いジャンルで多くの作品に出演しました。特に「与太者シリーズ」での功績が際立っており、人気喜劇俳優としての地位を確立しました。

彼の出発点

三井は神奈川県横浜市の西戸部町で生まれ、映画の世界に早くから触れる環境にありました。父が松竹の特約映画館を経営していたため、彼は幼少期から映画に親しんでいました。西戸部小学校を経て、1922年には慶應義塾大学商工学校に入学しますが、学校への通学途中に訪れた松竹蒲田撮影所で、俳優を志すことを決心しました。

1924年、三井は松竹蒲田撮影所に入社し、1925年には『懐かしの蒲田』で俳優デビューを果たします。初期は脇役としてキャリアをスタートさせ、1931年には磯野秋雄、阿部正三郎とともに「与太者トリオ」として注目を集めます。『令嬢と与太者』での演技がきっかけで、彼の名は多くの映画ファンに知られることとなります。

与太者シリーズの成功

与太者シリーズは非常に人気があり、三井はその中心的存在として、多くの作品に出演しました。『与太者と芸者』『与太者と花嫁』など、このシリーズは彼のキャリアの重要な部分となりました。1934年にはトリオ全員が準幹部待遇となり、さらに活躍の場を広げていきます。しかし、1935年には松竹を離れ、東京発声映画研究所の設立に加わることになります。

戦後の活躍

東京発声映画研究所の解散後、松竹に戻り、再び映画に出演し始めます。1948年には芸名を「三井弘次」に改名し、小津安二郎監督の『風の中の牝雞』に出演。1957年の黒澤明監督の『どん底』で演じた喜三郎役が評価され、助演男優賞を受賞。彼の演技は、多くの映画製作者にとって重要な存在となりました。

即興のスキルにも優れていた三井は、1950年代後半から1960年代にかけても映画、テレビドラマ、舞台で多彩な役をこなしました。1960年にはフリーの俳優として活動を開始し、映像作品のみならず演劇界でもその才を発揮しました。

生涯と家族

三井弘次は1971年に胃潰瘍の手術を受けた後、体調を崩し、俳優活動の幅を狭めます。そして、1979年に心不全により69歳でこの世を去りました。彼の弟には、慶應義塾大学医学部の教授であり解剖学の権威として知られる三井但夫と、デザイナー・画家の三井直麿がいます。

まとめ

三井弘次のキャリアは、日本映画界に多大な影響を与え、多くの人々に記憶されています。彼は特に与太者シリーズでの活躍を通じて、多くのファンを魅了し続けた名バイプレイヤーでした。彼の多彩な演技は、今もなお多くの映画ファンの心に生き続けることでしょう。

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