三会堂ビル

三会堂ビル：歴史と変遷を刻む赤坂のランドマーク

東京都港区赤坂に位置する三会堂ビルは、日本の農林水産業の歴史と深く関わる、由緒ある建造物です。その歴史は明治時代へと遡り、大日本農会、大日本山林会、大日本水産会の三団体が共同で事務所を構えたことに始まります。当初は銀座近辺にありましたが、明治24年には現在の赤坂に移転、合同の会堂を設立しました。

明治37年には新たなビルが建設されましたが、関東大震災で焼失。しかし、北洋漁業の先駆者である石垣隈太郎氏からの多大な寄付金により、大正15年には鉄筋コンクリート構造の6階建てビルが再建されました。その後、第二次世界大戦の戦火による被害と戦後の米軍接収を経て、昭和34年に接収が解除。農林水産関係団体が再び入居し、活動を再開しました。

昭和39年には、財団法人石垣産業奨励会を改組して財団法人農林水産奨励会が設立され、三会堂ビルの建て替えが計画されました。そして昭和42年、現在の地上9階地下3階建てのビルが完成しました。白いプレキャストコンクリート製の立体的な格子状の外観が特徴で、1階玄関ホールはモザイクタイルで装飾され、朝倉文夫作の石垣隈太郎銅像が静かに佇んでいます。

館内は、各階の意匠に各団体の象徴が取り入れられています。9階にある「石垣記念ホール」は、山林会を象徴する木材と、水産会を象徴する船室風の丸みのある窓が印象的です。ホール内には水玉状の天窓があり、自然光が優しく差し込みます。屋上庭園には、農会を象徴する大麦のエンブレムが掲げられています。地下階には飲食店などが立ち並ぶ商店街があり、一般の人々も利用可能です。

設計を手掛けたのは佐藤兄弟建築設計事務所で、同事務所の父は、昭和2年に竣工した旧三会堂ビルの設計も担当していました。三会堂ビルは、長年に渡り農林水産関係団体の拠点として機能を果たしてきただけでなく、復興庁も入居していました（2016年4月まで）。

2023年8月からは、建替工事に伴い解体工事が始まり、約1年間かけて既存の建物は解体されました。新たに建設されるビルは、地下2階地上19階建て、延床面積約34,600平方メートルの大規模な建物となる予定です。解体と新築は鹿島建設が担当し、2027年9月の竣工を目指しています。

三会堂ビルは、単なるオフィスビルではなく、日本の近代化、特に農林水産業の発展を支えてきた歴史的建造物です。その変遷は、日本の社会経済の変化を映し出す鏡であり、新たなビルの建設は、未来への発展への期待感を高めます。

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