三信ビルディング

三信ビルディングの概要

三信ビルディング（さんしんビルディング）は、東京都千代田区有楽町に位置する、歴史あるオフィスビルです。このビルは1929年に三井信託の手によって建設され、1955年には増築が行われました。その設計は横河工務所の松井貴太郎が手掛け、施工は大林組が担当しました。

建物の特徴

このビルは鉄骨鉄筋コンクリート造で、地下2階と地上8階の構成を持っています。地下1階から地上1階には商店街が広がり、2階から8階は主に事務所として使用されていました。外観は古典様式で、特に1階から2階の吹き抜け天井には黄道十二宮の星座が描かれています。藤森照信はこのビルを「スパニッシュ風アールデコ様式」と評価し、当時の同時代の建物に比べて地味な印象を与えています。

関東大震災の経験を考慮して、このビルは耐震性が考慮された設計が施され、最大で30度の傾斜においても倒壊しない構造が確保されていました。基礎が非常に強固であり、後に周辺地域で地盤沈下が起きた際には、ビル自体が相対的に浮き上がり、出入りの際に階段を使用しなければならなくなるという現象も見られました。

歴史的背景

1945年から1950年にかけて、三信ビルディングは連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の管理下に置かれ、米軍第71通信隊の下士官兵宿舎として利用されました。その後、接収解除の翌年には屋上にゴルフ練習場が設けられました。

このビルはその威厳ある外観から多くの人々に親しまれましたが、2003年9月に天井材の落下事故が起こったことをきっかけに、所有者である三井不動産は2005年1月に解体を発表しました。日本建築家協会や日本建築学会、市民活動家たちからは保存の要望が寄せられましたが、2007年には解体工事が遂に開始されることとなります。最後のテナントであった「ニューワールドサービス」は2007年3月30日に閉店し、ビルは立ち入り禁止となりました。

解体とその後

解体作業は2007年5月1日から始まり、石綿の除去作業も含まれていました。地上部分の解体は同年の10月末に完了し、その後、基礎部分の解体や地下鉄出入口の改修などが行われました。その結果、地下鉄出入口は一時閉鎖されましたが、2008年5月に再開されました。

三信ビルディングの跡地には、2008年12月から2011年6月30日まで「日比谷パティオ」というポケットパークが設けられ、スケートリンクやフードコート、イベントスペースとして利用されました。その後、この地域は再開発され、2018年には東京ミッドタウン日比谷が完成しました。

主な入居テナント

三信ビルは多くのテナントが入居しており、戦後には地下1階で営業した「ピーターズレストラン」などがありました。また、渡辺プロダクションが創業した際にもこのビルに事務所を構えていました。接収時代に開業した「ニューワールドサービス」は、日本にハンバーガーやソフトクリームを持ち込んだ店として知られています。フレンチレストラン「ラ・プロムナード」や、宝塚歌劇に関連する書籍を多く揃えた「三信書店」も、ビルの歴史の一部として語り継がれています。

このように、三信ビルは単なるオフィスビルではなく、歴史的な背景や文化的な価値を持った重要な存在でした。

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