石綿

アスベスト（石綿）

アスベストは、蛇紋石や角閃石が繊維状に変形した天然鉱物で、その特性から様々な用途に利用されています。主に、クリソタイル（蛇紋石系）とクロシドライト、アモサイトなどの角閃石系に分けられます。古代エジプトやローマ社会から現代にかけて、建築材料や防火材、自動車部品などに広く用いられてきましたが、吸入による健康被害が明らかになるにつれ、使用は厳しく制限されています。

アスベストの使われた歴史

古代エジプトではミイラの包帯として利用され、ローマではランプの芯としての用途がありました。中でも、中国では火浣布として珍重され、火に投じると汚れだけが燃え落ちる特性から人気を博しました。日本でも、平賀源内が発見した石綿を火浣布として献上したことがあります。

20世紀に入ると、建物の断熱材や防火材としての需要が急増しましたが、1970年代に入ると、その健康に対する悪影響が認識されるようになり、規制が始まりました。日本でも2006年からはほとんどのアスベスト製品が禁止されています。

健康被害と規制

アスベスト繊維を長期間吸入することにより、肺がんや中皮腫を引き起こすリスクがあることが報告されています。1980年代以降、日本でも多くの労働者がアスベストに起因する病気で命を失っており、特に造船や建設業での被害が目立っています。構造物の解体時にアスベストが粉じんとして環境に放出されることも大きな懸念事項となっています。

政府は、アスベストが含まれた建材の解体や取り扱いについて厳格な規制を敷いており、労働者の健康を守るための基準も設けられています。近年、解体業者の健康管理や環境への配慮が求められています。

その他の使用例

アスベストは主に防火や断熱のための建築材料、また電気絶縁材などとしても用いられた歴史があります。また、自動車部品や家庭用品にも使用されていました。特に、アスベストの加工は「グレート」という基準で評価されており、繊維の長さによって分類されています。

最新の動向

現在、一部の国ではアスベストの使用が継続しているものの、国際的にはその危険性が広く認識され、代替材料への移行が進んでいます。日本も含め、多くの国がアスベストの使用を制限し、代替技術の開発を促進しています。

アスベストに関する議論はまだ続いており、特に過去の使用による健康被害が問題視されています。市民に対する啓発活動や、使用されている建材の調査が行われていることも大切な取り組みです。

アスベストに関する法規制や健康への影響について、今後も注目が集まるでしょう。

もう一度検索