三兄弟同盟

三兄弟同盟の概要

三兄弟同盟（さんきょうだいどうめい、英: Three Brotherhood Alliance）は、アラカン軍、ミャンマー民族民主同盟軍、そしてタアン民族解放軍の三つの武装組織によって、2019年6月に設立されました。この同盟は、2021年のミャンマークーデター後における軍事政権に対する抵抗において、特に2023年以降、重要な役割を果たしています。また、同盟の日本語名においては、英語の訳の違いにより「三兄弟連盟」と表記されることもあります。

背景

2016年、ミャンマーのラカイン州においては、ロヒンギャと仏教徒過激派との対立が激化し、政府はロヒンギャに対して追放を目的としたジェノサイドを実施しました。その結果、アラカン・ロヒンギャ救世軍による警察への攻撃が原因となり、緊張が高まっていました。アラカン軍は、ミャンマー軍との戦争を再開し、2018年には数回にわたり攻撃を行いました。

一方、タアン民族解放軍は2009年に設立され、シャン州北部で小規模な作戦を展開していました。クーデター以前は、他の反政府組織やカチン独立軍からの支援を受けながら活動していました。ミャンマー民族民主同盟軍は、北部のコーカン族を代表する武装組織であり、クーデター前にはアラカン軍との停戦を結びました。

同盟の結成

三兄弟同盟は、アラカン軍を中心に、2019年の激しい軍事衝突を背景に結成されました。その活動の一環として同年9月には初の攻撃を行い、その後は和平交渉に向けた取り組みも行いました。2020年3月には、いったん停戦が成立しましたが、アラカン軍に対する軍事的な攻撃は続いていました。この間、アラカン軍はラカイン州内で事実上の支配権を持ち、行政機関を設立し地域社会にサービスを提供していました。

クーデター後の動き

2021年2月に発生したクーデター直後、三兄弟同盟は明確に軍事政権に対する戦争宣言を行いませんでした。しかし、他の反政府組織が抵抗を示す中、クーデター後の3月に入ると同盟としての意志表示を行いました。これにより、停戦は事実上破綻し、同盟は攻撃を再開しました。ラカイン州では久しぶりに平穏な期間が訪れ、同州の大部分の支配を確立しました。

2021年後半には、民族間の衝突が激化し、同盟は軍事的力量を強化しました。2022年には、アラカン軍の基地が空爆されるなど、さらなる緊張が続きましたが、逆に同盟は支配の確立を進めていきました。2023年には、軍事政権が実施しようとしている選挙を不正として非難し、他の軍事組織との連携も強化しました。

1027作戦

2023年10月27日、三兄弟同盟は「1027作戦」と呼ばれる大規模な攻勢をシャン州北部で実施しました。この攻撃は、国軍の失敗に続くものであり、同盟は数十の国軍基地を破壊するなどの成果を上げました。この事件は、マンダレーの国民防衛隊や他の反政府組織からも支持を受け、同盟の勢力を一層強化する結果となりました。

結論

三兄弟同盟は、ミャンマーの複雑な政治情勢の中で重要な役割を果たしており、特にクーデター以降の抵抗運動においては多くの注目を集めています。また、同盟の行動は地域の安定性や軍事的平衡にも影響を及ぼしており、今後の展開が注視されています。

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