三国駅 (aikoの曲)

aiko 17thシングル「三国駅」：青春の風景とノスタルジー

2005年2月16日、aiko通算17作目のシングル「三国駅」がポニーキャニオンよりリリースされました。アルバム『夢の中のまっすぐな道』からの先行シングルとして、多くのファンを魅了しました。

三国駅：ノスタルジックな風景

表題曲「三国駅」は、aikoにとって特別な場所である阪急宝塚線三国駅をモチーフにしています。正確には、高架化される前の旧駅舎がモデルとなっています。歌詞には、変わらぬ街並みや「あそこのボーリング場」（新三国アルゴ）など、具体的な情景が描かれ、当時の温かい雰囲気を伝えています。卒業した大阪音楽短期大学の最寄り駅である庄内駅のすぐ近くという、aikoの青春時代の思い出が詰まった場所が、この楽曲の背景となっています。

PV撮影は茨城県立取手松陽高等学校と神奈川県立三崎高等学校で行われ、実際の三国駅とは異なるロケーションながらも、楽曲の世界観を見事に表現しています。なお、楽曲は2003年のライブハウスツアーでも先行披露されており、既にファンからの高い人気を得ていました。「青い光」とどちらをシングルにするか最後まで悩んだというこの曲は、aikoの楽曲の中でも特に思い入れの強い1曲と言えるでしょう。

カップリング曲の魅力

カップリング曲にも注目すべき点があります。「ハチミツ」はインディーズ時代のアルバム『GIRLIE』に収録されていた楽曲を再録したもので、aikoの音楽史を垣間見ることができる貴重なトラックです。「小鳥公園」は『夢の中のまっすぐな道』に収録された「ビードロの夜」とカップリング曲として候補に挙がり、最後まで悩んだ末に選ばれた、繊細な感性と叙情性を湛えた楽曲です。

発売イベントと盗難事件

シングルの発売を記念して、三国駅構内には約100枚のポスターが貼られました。しかし、ほとんどが盗難されるという、予想外の事態が発生しました。これは、楽曲の人気を示す一方で、同時にファン心理の複雑さも示唆する出来事と言えるでしょう。一方、aikoが学生時代からよく訪れていた「サンティフルみくに商店街」のCDショップでは、発売後、週間売上が他シングル作品を大幅に上回り、2005年3月時点で過去最高の売り上げを記録しました。

通常盤、初回限定盤、ツアー限定盤

「三国駅」シングルは、通常盤に加え、初回限定盤（カラートレイ仕様）とツアー限定スペシャルボックス仕様の3種類が発売されました。ジャケット写真については、初回限定盤と通常盤で同じものが使われていますが、裏ジャケットは異なるデザインとなっています。

変貌を遂げた三国駅とその周辺

歌詞に登場する「変わらない街並み」とは裏腹に、三国駅とその周辺は、区画整理による駅移設・高架化が進み、大きく様変わりしました。東口にはロータリーと再開発ビルが完成し、西口には高層マンションが林立しています。歌詞に描かれている「あそこのボーリング場」であった新三国アルゴも、2011年に閉館、取り壊されましたが、その後、複合レジャー施設『ALgo7』として再オープンしています。

「三国駅」は、aikoの音楽キャリアの中でも特別な位置を占める楽曲であり、彼女の故郷大阪、そして青春時代の思い出が凝縮された、聴く者の心に深く響く名曲と言えるでしょう。

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