三塚幸彦

三塚 幸彦（みつか ゆきひこ）

三塚幸彦は、日本の尺八奏者として、また尺八製作者としても広く知られています。北海道出身の彼は、若い頃に尺八の音を耳にし、その美しい音色に心を奪われました。この瞬間が、彼の尺八との出会いの始まりであり、その後の音楽人生に深く影響を与えることになります。

音楽の道の始まり

16歳の頃、三塚は父が所有する尺八を密かに吹いてみることを決心します。この行動が彼の尺八奏者としての第一歩となるのです。その後、彼は琴古流の人間国宝である青木鈴慕、そして都山流の人間国宝である山本邦山に師事し、流派にこだわらない個性豊かな演奏スタイルを身につけます。

音楽家としての道を進む中、彼はNHK邦楽オーディションに挑戦し、見事に三連続合格を果たしたのち独立。これにより、彼の活動はより自由で多様なものへと進化していきました。

国内外での活動

三塚は、尺八の演奏だけではなく、太鼓の林英哲やウードのハムザエルディン、パイプオルガンの酒井多賀志など、多彩なアーティストと共演する機会を得て、全国はもちろん、海外にもその活動の舞台を広げています。1988年には、尺八、箏、ギターによるユニット「遠TONE音」を結成し、新たな音楽表現を追求しています。

さらに、三塚は指導者としても活躍しており、尺八の基本から応用に至るまでの技術を教えることに注力しています。2010年から2014年まで、邦楽ジャーナル誌にて「目から鱗の尺八上達術」を連載、さらに2019年からは「新 目から鱗の尺八上達術」を発表するなど、その教育活動は多岐にわたります。

尺八製作者としての活動

音楽活動の一環として、大学在学中に自分のための尺八を製作することがあった三塚。卒業後、その自作尺八が評価され、NHK邦楽育成会に合格。これを機に、尺八演奏家からの製作依頼が増え、彼は尺八製作工房を設立しました。この工房は「泉州尺八工房」と名付けられ、多くの若手奏者に支持されています。

同工房の製品を使用する奏者には、松田惺山や善養寺惠介、田辺頌山などが名を連ね、彼の製作した尺八は高い評価を受けています。特に2019年には、アルミニウム製の「メタル尺八」を制作し、新しい試みに挑む姿勢も見せています。

終わりに

三塚幸彦は、その幅広い活動を通じて、尺八の伝統を守りつつも新しい風を吹き込むアーティストとして、多くの人々に影響を与えています。彼の音楽と製作への情熱は、今後も多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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