三大テノール

「三大テノール」という言葉は、ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスという、20世紀後半を代表する3人のテノール歌手が共同で行ったコンサートの名称「The Three Tenors」に由来します。

「The Three Tenors」という名称に「三大」という意味合いはありませんでしたが、3人がそれぞれ抜きん出た人気と実力を兼ね備えていたことから、彼ら3人の存在そのものを指す言葉として定着しました。彼らは主にイタリアオペラを得意としていましたが、ドミンゴはドイツオペラ、ドミンゴとカレーラスはフランスオペラの「カルメン」のホセ役でも知られていました。

三大テノールとしての最初の活動は、1990年にイタリアで開催されたFIFAワールドカップの前夜祭として、ローマのカラカラ浴場で行われたコンサートでした。このコンサートは大きな成功を収め、その後もワールドカップ開催のたびにコンサートが開催され、2002年の日韓共催の際の横浜アリーナまで続きました。また、3人での世界ツアーも数多く行い、オペラだけでなく、ナポリ民謡やポップスなど、幅広いレパートリーを披露し、テノールやオペラの魅力を大衆に広めることに大きく貢献しました。

日本においては、1996年6月29日に旧国立競技場で最初の公演が行われました。1999年1月9日には、ヴァーナルが東京ドームで行った「3大テノール ニューイヤー・コンサート'99」が、エフエム東京や東京メトロポリタンテレビジョンを通じて全国に放送され、大きな反響を呼びました。

2003年のコンサートが最後となり、2007年にパヴァロッティが死去したことで、三大テノールとしての活動は幕を閉じました。しかし、彼らの功績は色褪せることなく、「その時代を代表するトップ歌手」という意味での「三大テノール」という言葉はその後も使われ続け、「ポスト・三大テノール」は誰か、といった議論もなされています。

三大テノールの解散後には、ニール・シコフ、ジュゼッペ・サッバティーニ、ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラの3人が「グレート３テナーズ」という名称でコンサートを行ったこともあります。

三大テノールの活動は、オペラ界に新たな風を吹き込み、多くの人々に感動を与えました。彼らの歌声は、これからも長く人々の記憶に残ることでしょう。

もう一度検索