三好徹

三好 徹 (みよし とおる)

三好徹（1931年1月7日 - 2021年4月3日）は、日本の著名なジャーナリストおよび作家であり、幅広いジャンルの文学を手掛けたことで知られています。特に推理小説やスパイ小説、さらに歴史小説においても多くの作品を残しました。本名は河上雄三であり、東京に生まれました。

経歴

三好は小学生の頃から推理小説や講談を愛読し、作家としての素養を培いました。中学校時代には陸軍幼年学校を志望するも不合格となり、その後名古屋陸軍幼年学校に入学。敗戦後は東京府立第一商業学校を経て、横浜高等商業学校へと進学し、1950年に読売新聞社に入社しました。

新聞記者としてのキャリアの中で、彼は様々な事件を取材し、多くの取材経験を作品に活かしました。しかし、健康を害して2年間療養所に入院することとなります。この間にカフカやカミュ、サルトルの作品に影響を受け、文筆活動に取り組み始めました。1959年には短編で文學界新人賞次席を受賞し、その後、1960年には長編推理小説『光と影』が作家デビュー作として発表されました。

執筆活動

三好の作家としての地位を確立したのは、1966年に刊行した『風塵地帯』が評価され、日本推理作家協会賞を受賞したことが大きな要因です。この作品は国際的なスパイ戦争をテーマにしており、彼の文体の特徴を感じさせるものでした。

特に「風の四部作」に分類されるスパイ小説群は、国際情勢を反映しながら新聞記者の視点を通じて描かれ、多くの読者に魅力を与えました。以降も『外套と短剣』『海と弾痕』などのスパイ小説を発表し、作家としての幅を広げていきます。また、直木賞を受賞した『聖少女』も多くの読者に支持され、その後も推理・歴史小説の執筆を続けました。

三好は歴史小説の執筆にも情熱を注ぎ、坂本龍馬暗殺を題材にした『龍馬暗殺異聞』や伊藤博文暗殺をテーマにした『博文暗殺』など、幕末から明治にかけての歴史を舞台にした作品も数多く出版しました。これらの作品は、彼の独自の視点や分析によって新たな魅力を持っています。

趣味とその他の活動

趣味で囲碁を愛し、1971年には文壇の本因坊にまで上り詰めた実力を持ちながら、囲碁界への貢献も果たしました。また、ゴルフに関する書籍も執筆し、もっぱら幅広いジャンルの作家として知られています。牛ケースから日本ペンクラブの理事も務め、ジャーナリズムにおいても積極的な活動を続けました。

三好は文壇だけでなく、実社会においても影響を与える存在でありました。2021年4月には誤嚥性肺炎により90歳で亡くなりましたが、その豊かな著作と影響力は今なお多くの人々に受け継がれています。彼の作品は、日本の現代文学における重要な位置を占め続けることでしょう。

もう一度検索