三学士

三学士

三学士（さんがくし、サムハクサ、삼학사）とは、1637年に起きた丙子の乱の際、清に降伏することに反対した韓国の学者三人を指します。この三人は、洪翼漢、尹集、呉達済という名を持ち、彼らは清を蛮夷と見なし、最後まで主戦派の立場を崩しませんでした。

彼らは李氏朝鮮時代において、忠君愛国の思想や明に対する慕華主義を基にした強固な信念を持っていました。特に、洪翼漢はその著作『尊周彙編』の中で、「列聖相承，世藩職修，事大一心（先祖代々から中華の藩屏として仕え、強大な主君に一意専心仕えるのみ）」と表現し、伝統的な朱子学の立場を明確にしました。

丙子の乱は、朝鮮が清国の侵攻を受け、国としての存続が危ぶまれる中で発生しました。この混乱の中、仁祖が三田洞で清の太宗ホンタイジに降伏した後、三学士は斥和派として捕えられました。その後、彼らは瀋陽に送られ、そこで処刑される運命にあります。彼らの死は、まさに忠誠心と国への思いを象徴するものとして、後の世に語り継がれることになりました。

清の太宗ホンタイジは、三学士の高い節義を称え、瀋陽に彼らを祀るための祠堂と石碑を設けるよう命じました。太宗の手によって揮毫された「三韓山斗」という言葉には、彼らの崇高さが込められていると伝えられています。1932年には、この碑額が発見され、瀋陽の春日公園に三学士の遺跡碑が復元されました。

また、南漢山城には彼らを祀る顕節祠が存在し、世界遺産としても知られています。この祠は1671年に宋時烈が『三学士伝』という著作を通じて、彼らの事績を顕彰したことに由来して1681年に建設されました。現在も例年、旧暦9月10日に祭祀が行われており、三学士を偲ぶ重要な行事となっています。

三学士の生涯と信念は、朝鮮民族にとって誇り高い歴史の一部です。彼らの行動は、単なる抵抗の表れではなく、国家の運命と自国の文化を守るための深い愛国心の現れであり、その思想は後の世代においても引き継がれています。

もう一度検索