三学院

三学院（さんがくいん）

概要

三学院は、埼玉県蕨市にある真言宗智山派の寺院です。金亀山極楽寺（こんきさんごくらくじ）という号を持ち、地域の人々に親しまれています。創建年代は不詳ですが、本尊の十一面観音像が平安時代後期のものとされており、その頃には既に存在していたと考えられています。

歴史

三学院の正確な創建年代は、過去の火災により記録が失われたため不明です。しかし、寺伝によると、平安時代中期の長徳4年（998年）に開山されたとも伝えられています。また、鎌倉時代から戦国時代にかけては、三學坊と称する修験の寺であったという説もあります。

江戸時代に入ると、三学院は関東七箇寺に列せられ、多くの学僧が集まる学問寺として発展しました。優れた僧侶を輩出し、学問の中心地として名を馳せました。寺には「三教指帰」が残されており、当時の学問寺としての活動を今に伝えています。

本尊の十一面観音菩薩立像は、高さ176cmの一木造りで、金箔が施されています。平安時代後期の作とされ、慈寛大師の作と伝えられています。その他、境内には子育地蔵、目疾地蔵、六地蔵、阿弥陀一尊画像板碑、地獄曼荼羅図などが保管されており、歴史と信仰の深さを感じさせます。

1591年（天正19年）には、徳川家康によって寺領20石が与えられ、その後も歴代将軍から朱印状が発給されています。現在、三学院には、家康から第十四代家茂までの歴代将軍の朱印状が十二通所蔵されており、徳川家との深いつながりを示しています。江戸時代には「関東十一談林」の一つとしても名を連ね、学問の府としての地位を確立しました。

また、当寺には、旧日本軍によって発掘された玄奘の遺骨の一部が納められているという、特筆すべき歴史も有しています。

文化財

三学院には、数多くの文化財が所蔵されており、その歴史と文化的な価値を物語っています。

蕨市指定文化財
木造十一面観音菩薩立像
徳川将軍家朱印状
子育地蔵
地蔵石仏〈目疾地蔵〉
六地蔵石仏
梵字馬頭観音塔
宝篋印塔〈宝永2年銘〉
宝篋印塔〈寛政9年銘〉
阿弥陀一尊画像板碑
木食観正塔
三学院の藤
木造阿弥陀如来坐像
石川直中墓碑及び墓碑建設寄附連名碑 中山保治頌徳碑

これらの文化財は、三学院の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産です。

施設

三学院には、本堂の他に、子育地蔵堂や地蔵堂など、様々な施設があります。緑豊かな境内は、訪れる人々に安らぎを与えています。

交通アクセス

JR京浜東北線「蕨駅」より徒歩約16分
蕨駅よりぷらっとわらび（西ルート）にて「三学院」下車

脚注

参考文献

花井泰子、花井敬、青木忠雄 著『さいたま寺社めぐり 夫婦で訪ねた四季の寺社76選』幹書房、1999年

関連項目

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