三宅周太郎

三宅周太郎の生涯と業績

三宅周太郎（みやけ しゅうたろう、1892年7月22日 - 1967年2月14日）は、日本の演劇評論家としての名声を知られる人物です。兵庫県加古川市に生まれた彼は、若い頃から演劇に強い関心を持ち、特に文楽の振興に大きく貢献しました。彼の悲しみを伴った人生には、数々の劇評と共に、演劇界での影響力のある活動がありました。

演劇との出会いと活動の始まり

彼が演劇に触れたのは、6歳の時に父親が立てた芝居小屋でした。この小屋での体験が彼の演劇への情熱を育てることになり、以降、同志社中学校や慶應義塾大学で文学を学ぶ中でも歌舞伎や文楽を観ることを続けました。1917年に発表した『新聞劇評家に質す』では、当時の劇評にも影響を与え、三木竹二や杉贋阿弥といった劇作家を称賛し、逆に饗庭篁村や松本幸四郎に対しては厳しい批判を行いました。

そこから彼の活動は広まり、1918年には時事新報にて劇評を担当しましたが、その辛口の批評が原因で1年半で退職します。その後、『新演芸』の合評会に参加し、1921年には新富座の嘱託として本格的に活動を開始しました。彼は1922年に『演劇往来』を出版し、演劇評論における地位を確立していきました。

文楽の振興に尽力

三宅は、文楽が直面していた厳しい状況を訴える文章を発表し、文楽の復興に貢献しました。特に1928年から1930年にかけて、文楽に関する2つの重要な著作を発表し、この時期から彼自身が文楽の重要性を認識し始めたことが伺えます。その後も、文楽の研究を深め、1940年には『続文楽の研究』を出版しました。これらの著作は、文楽に対する理解を深めるための貴重な資料として今なお評価されています。

編纂と批評活動

1926年からは『演劇新潮』の編集長に就任し、演劇に関する情報を広める活動にも注力しました。しかし彼は自身のプライベートに関してはあまり語らず、30歳前後に一度の離婚と再婚を経ていることが知られています。第二次大戦後には、京都に疎開しつつも、新たに創刊された『幕間』誌に関与し、1948年には『観劇半世紀』を刊行しました。

輝かしい受賞歴と晩年

戦後の彼は文部省の文化財芸能専門委員に任命され、文楽への補助金制度の整備にも寄与しました。1958年には紫綬褒章を受賞し、1964年には菊池寛賞を受賞するなど、その功績が評価されたことが分かります。彼は加古川市の名誉市民にも選ばれ、その影響力を広めました。

1967年、緩やかに進行していた肺がんにより亡くなった三宅周太郎。その生涯は演劇に対する情熱と追求だったと言えるでしょう。没後には、日本芸術院恩賜賞を受賞し、彼の演劇評論としての業績が後に評価されることになりました。

著作の一覧

三宅周太郎の著作は多数に及び、以下のような作品が挙げられます。

• - 『演劇往来』（1922年）
• - 『文楽の研究』（1930年）
• - 『続文楽の研究』（1941年）
• - 『観劇半世紀』（1948年）

これらの作品は、彼の深い知識と演劇についての独自の視点を反映しています。三宅の努力と情熱は、今もなお多くの演劇愛好者に影響を与え続けているのです。

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