新富座

新富座の歴史と重要性

新富座（しんとみざ）は、明治8年（1875年）に創設された劇場であり、旧守田座が改名して新たに設立されたものです。この劇場は株式会社として運営され、12代目である守田勘弥が経営者として名を馳せました。新富座は東京都中央区新富町6丁目に位置し、当時の演劇文化に大きな影響を与えました。

沿革と発展

新富座は明治4年から5年（1872年から1873年）にかけて、守田座が新富町に移転したことに始まります。その後、1875年に正式に新富座と改称され、以降さまざまな演劇活動が行われました。特に明治9年（1876年）11月、日本橋区の数寄屋町にあった劇場が火災にあい、翌年には新富町4丁目に仮設の劇場を開設することとなります。

明治11年（1878年）には、ガス灯を整備した近代的な劇場が新設され、大規模な開場式が行われました。この式典には太政大臣の三条実美をはじめ、さまざまな外国公使が招かれ、さらには日本で初の夜の芝居興行が開催されました。西洋の戯曲を翻訳し、またウエルノン一座を招くなどして、演劇の多様性を広げていったのです。

劇場としての重要な役割に加え、新富座は明治時代中期の演劇改良運動の中心地でもありました。特に九代目市川團十郎が活躍する場として知られ、演劇の発展に貢献する存在でした。明治21年（1888年）には、他の劇場と連携して四座同盟を結び、競争を通じて歌舞伎の黄金時代を築く一助となりました。

松竹による買収とその後

新富座は明治43年（1910年）に松竹に買収され、その後の経営は松竹傘下に置かれました。大正12年（1923年）には関東大震災の影響を受け、一時的に被災しましたが、そのまま再建されることなくゲームアの道を辿ることになります。最終的に昭和8年（1933年）には松竹興行株式会社に吸収され、新富座は歴史の幕を閉じました。

現在の新富座跡

新富座の跡地には今、京橋税務署と東京都中央都税事務所が存在しています。また、中央区によって「新富座跡」の説明板が設けられ、かつてこの地が演劇の中心であったことを今に伝えています。

平成19年（2007年）からは地域の子供たちを対象にした新富座こども歌舞伎が発足し、伝統の継承にも力を入れています。特にその翌年の節分祭では『三人吉三巴白浪』が奉納され、地域の文化活動としても重要な位置を占めるようになりました。新富座は、単なる劇場の枠を超え、歴史と文化を紡ぎ続けているのです。

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